<書評>なんてタイトルのエントリを書くと、前職の後輩などから「おススメ本を教えてください」と言われる。
それでふと思った、というか前から思ってたのが、いわゆる「成功本」って、テンションは上がるけど、成功するためのノウハウ習得にはあまり役に立たないよな、ということ。
ここでいう成功本とは
上場ベンチャー企業社長など社会的に「成功者」と呼ばれる人々が
「オレが成功した秘訣」を
半生記や自社の紹介を交えて書き上げた本
のことである。
誤解なきよう言っておくが、成功本の「テンションが上がる」という効能は、それだけで非常に貴重にして重要である。
何事もやる気ときっかけが最も大切、というか全てと言ってもいい。
その上で、冒頭の趣旨に戻る。
まあ僕も本好きな人生を送ってきて、そこそこ多くの成功本を読んできたけど、まず第一に、成功の秘訣という奴はもう千差万別なのである。
ある成功者は「執着心が第一」と言い、ある成功者は「あきらめが大事」という。
ある成功者は「綿密に準備してから取りかかれ」と言い、ある成功者は「走りながら考えろ」という。
例を挙げたらキリがないが、要するに成功のノウハウにはパターンがない。
言えることは、成功に至る道は無限にあり、「自分に合ったやり方を選んだ者がゴール(成功)にたどり着ける」ことなんだと思う。
さらに、とかく成功本を書こうなどという人は総じて自己顕示欲が強い人種だから、成功につながった要因かどうかの因果関係を考慮することなく自分の習慣やモットーを書いてしまうからタチが悪い(笑)。
「毎日水風呂に入る。それが成功のカギ」「高い靴を履け。それが成功への階段」みたいな。
逆に、テンションは下がるけど学習効果が高いのは「失敗本」だろう。
ベンチャー失敗本の代表作といえば、この2冊か。
板倉雄一郎氏(元ハイパーネット社長)の「社長失格」
松島庸氏(元クレイフィッシュ社長)の「追われ者」
いずれも読後は暗い気持ちになるが(笑)、教訓は明確で記憶に残る。
・ベンチャーは主に銀行借入で新規事業を立ち上げるのは避けるべし
・身の丈の生活をすべし
・企業力を超えた戦線拡大は避けるべし
・資本政策は一度やったら後戻りできない、慎重を期すべし
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」(現楽天監督・野村克也氏の言)である。
なんだけど、世の中成功本の方が圧倒的に多いですね。成功本:失敗本=99:1くらいか。
まあ読み手はテンション下げるより上げたいよね。
それに書き手も自分の失敗よりは成功を書きたいわな。
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写真はガンジス河岸の壁に大書されていたガネーシャの絵。
このガネーシャ、父であるシヴァ神が子と知らずに首を切り落として投げ捨て、後で子と知り首を探しに行ったが見つからず、やむなく象の首を切って頭部として取り付け復活させた、というのが由来らしいです。むちゃくちゃですな。
3 件のコメント:
小林さんのなら
成功本でも
失敗本でも
どちらでも読みますんで
光栄です。ところであなたさまはどなた?こっそり教えて。
ながしまよ!
競輪のCMで毎回感動してる俺はビジネスに向かないのかなあ・・・?だってあれ、社会的認知度を上げるためのものでしょ?
売上UPとは関係ないものだと思うから。
成功本はもう見る気がしないのは同感ですね。それでうまくいかないからこそ同じ著者の同じ内容の本が何冊も売れる。
つまり本もDVDも効果は薄い、薄いからこそ
誘導ができるってことだよね。
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