2011年4月7日木曜日
スーツ終了のお知らせ
電力が不足しています。
東京電力の本日(4/7現在)の最大供給能力は3950万kw。
地震により停止している火力発電所などを復旧して早期に4500万kwの供給を目指すとしていますが、夏場のピークである6000万kwには1500万kw、実に25%相当も不足することになります。
どうも電力不足は今年だけのことと思っている人がいますが、僕は何年も続くことを覚悟すべきだと思っています。
東京電力は、新潟柏崎に7つ、福島第一に6つ、福島第二に4つ、計17の原子炉を保有しています。
これら3ヶ所17機の原子炉の発電能力合計は1700万kw、東電の総発電能力(全ての発電所の最大出力の合計)である6300万kwの28%に相当しています。
いや、相当していました。
3.11までは。
ところが福島は第一第二ともご存知のとおりの状況、柏崎も新潟中越沖地震の影響で3つの原子炉が停止中のため、現在は17ある原子炉のうち4つしか稼働していません。
単純に考えると(もちろん原子炉により発電能力が異なるでしょうからもう少し複雑ですが)、28%×13/17=21%相当の発電能力が失われている計算です。
重要なのは、この東電全体の2割強に相当する発電能力が、おそらく永久に失われたままであろう、ということです。
廃炉が決定しているのは福島第一の7つの原子炉だけですが、停止中の残りの原子炉を(特に福島第二を)再び動かす日が来るとは思えません。
物理的には可能でも、住民感情や世論が許さないでしょう。
つまり、東電は元の発電能力を取り戻すためには、2割強の「新たな」手段を確立しなければならないということです。
もちろん方法はあります。
大きく分けると、国内の他電力会社からの送電を増やすことと、比較的新設が容易なガスタービン発電機などを増設することです。
例えば中部電力が変換能力(中電と東電は周波数が異なるため変換が必要)を増強したり、タイが24万kwの発電能力を持つガスタービン発電機を無償貸与するなどしてくれています。
非常にありがたい話ですが、不足1500万kwに対して、これらの施策は一つ一つが1万kw・10万kwのオーダーなのです。
時間をかければいつか1500万kwに届くのでしょうが、逆にいえばどれだけの時間がかかるのか。僕にはとても1-2年で済むとは思えません。
ということで、よほどの大逆転が起きない限り、夏の関東地方の電力不足は何年も続くと考えた方がよさそうです。
ところで、なぜ夏はそんなに電力が必要なのでしょうか。
一番の理由は、冷房です。
上のグラフは資源エネルギー庁の資料ですが、電力が最大の月である7月と最小の月である4月を比べると、消費電力量はおよそ10:7であることがわかります。
(ざっくりですが)夏の電力の3割は冷房によって消費されているということです。
これはつまり、今年は、今年からは、どれだけ暑くても冷房はほとんど使えないということです。
(意地悪な言い方ですが)泣こうがわめこうが、日本人がどれだけ団結しようが、募金しようが、献血しようが、自粛しようが、東電にデモに行こうが、電力が足りないのです。
では、まず、どこから冷房を弱めるすべきか(場合によっては切るべきか)。
オフィスおよび通勤電車の中でしょう。
病院や老人介護施設など冷房の有無がただちに生命に関わる場所が他にあるということもありますが、元々オフィスも通勤電車も、冷房が過剰でした。
スーツを着た男性の体感温度に合わせて温度設定されていたため、主に女性に冷房病を引き起こしたり、ヒートアイランドの原因の一つであるなど、多くの問題を抱えていました。
ここで、タイトルの「スーツ終了のお知らせ」に戻ります。
ビジネスマンは、本気で、真剣に、心から、夏のスーツ着用をやめるべきです。
元々スーツ嫌いで年に2-3回しか着ない僕が言うと説得力がないかもしれませんがw、良い機会だと思うのです。
スーツをやめて、年々進む過剰冷房を今年で止めましょう。
少しでも多くの電力を工場などに回して、日本の復興を早めましょう。
だいたい、東京で夏にスーツを着ること自体がおかしいのです。
スーツはイギリス発祥の服装ですが、東京の8月の平均最高基本が31°Cなのに対して、ロンドンは22°Cです。札幌が26°Cですから、ロンドンは札幌よりも涼しいのです。
日本人が夏でもスーツを着るようになったのは、冷房が普及したここ30年ほどのことでしかありません(山手線に初めて冷房車両が登場したのが1970年でした)。
それまでは、ビジネスマンは夏には半袖の開襟シャツを着ていました。実に合理的です。
暑くてもスーツを着るのがビジネスマンの常識だなどと言う人もいますが、僕に言わせればただの思考停止のアホです。
企業は思い切って「夏はスーツ禁止」としてはどうでしょう。
日本人の性質を考えると「着なくても可」ではたぶん多くの人がスーツを着続けてしまいますから。
ついでに就職活動の学生にもリクルートスーツ着用を禁止すればよいのです。学生も喜ぶでしょう。
上記は真剣な提案です。
誰か不幸せになる人がいますか? ほとんどいませんね。
多くの企業が、これを機会にムダな呪縛と思い込みから逃れて、合理的な行動をとることを願います。
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写真はアイスランド、スコルガフォスの滝。
アイスランドは水力発電が7割、地熱発電が3割というクリーンエネルギー大国。
が、水力も地熱も、実は日本の方が発電量は多い。
総人口30万人(日本の400分の1)のアイスランドだからこそクリーンエネルギー100%が可能ともいえる。
エネルギー政策、難しい。
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