2012年11月30日金曜日

第弐拾四話 最後のシ作車

11/27から三日間、中国に行ってました。
訪中10回目だったか11回目だったか。わかんなくなってきた。

今回は、iruka試作第四弾の設計データ途中経過を見せて、工場のエンジニアとディスカッションする目的。

中華→打ち合わせ→中華→打ち合わせ→中華→カラオケ→打ち合わせ→中華、という感じ。
ああ、今回も中華料理んまかった。特に北京風羊肉しゃぶしゃぶ(↓)。鍋が二階建てになってて上段がスパイシー。



あ、いや、打ち合わせも生産的でござったよ。
ですので次回はまた12/18から訪中して、試作第四弾スタートと。

第三弾までは汎用パイプとCNC切削だけで作ってきたけど、第四弾では一部だけどいよいよフレームの金型を起こします。
フレームデザインをフィックスできればその金型がそのまま量産に使われるし、ダメなら捨てるw

というわけで、次が量産前の最後の試作にできるか否か。というところ。
まーでもどうだろなー。次の試作が4.0としたら、フレームは固まったとしてもディテールは4.1, 4.2という感じで何回か修正が必要になるかな。

ま、作ってみないとね。
楽しみだぜ。

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タイトル元ネタはエヴァなわけですが、今回往路が午後便だったんで空港に行く前の朝イチ回でエヴァQを鑑賞。んで確信したけど、あの人たち最終話できちんと話をまとめようとか伏線を回収しようとか一切考えてないよねw
とわかっていながらファイナルも見に行っちゃうんだけどさ、間違いなく。

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ときどき心配してくださる方がいますが、工場が台湾資本ということもあり、今のところ日中関係悪化の影響は特にありません。気にかけていただきありがとうございます。この場を借りて御礼をば。

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冒頭の写真は工場のある江蘇省太倉市、宿泊したホリデイイン裏の川。長江が近いので街中に川が多い。岸辺に柳が揺れて、船が行き交うさまはなかなか風情がある。


2012年11月8日木曜日

ヘヴィメタル・メリル・ストリープ

前回のエントリでワイヤが云々と言っていたら、新宿のWireというクラブに行ったときの出来事を思い出したので書いてみます。

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2001年だったか2002年だったか、花園神社近くのクラブで、ハードロックナイトがあるというので行ったことがある。

最近はクラシックを聴くことが多いけど、ルーツというか、僕の骨肉となっている音楽はハードロック、特に1980年代のハードロックである。ダサいけど。

僕という人間を玉ねぎのように外側から一枚一枚めくっていって、最後に核とか芯とでも呼ぶべきものが残るとしたら、その成分の15%くらいはハードロックだと思う。実にダサいけど。

今もそうだが、当時も、ハードロックは広く一般的に人気のある音楽ではない。客は多くはないだろうと思っていたが、店に入ってみると、客の数は僕の予想よりさらに少なかった。

少ないかわりに、コアだった。

大音量のジューダスプリーストに合わせて、長髪にロックTシャツの男女が、陶酔した表情で激しくヘッドバンギングしている。エアギター、エアベース、エアドラム、さらにエアヴォーカルもいる(つまりエアでバンドが成立している)。何と言うか、まあ、筋金入りの人たちばかりだった。

僕と連れは先客たちに気圧されて、ダンスに出ることなく何となくバースペースに腰を落ち着けてしまった。ローカルとプロしかいないサーフポイントに、知らずにパドルアウトしてしまったような気分だった。

しばらくアイアンメイデンなどイギリスのバンドの曲が続いた後、ボンジョヴィのI’d die for youのイントロが流れ始めた。キーボードのリフとコード進行がデビューヒット曲のRunawayやBorn to be my babyに似た、シリアスで叙情的な曲である。

座ってビールを飲んでいた僕たちの前に、一人の女性が立った。

年の頃は五十代半ばくらい、痩せて小柄な体、ベリーショートの髪、黒のジャケットに黒のロングスカート。良く言えば意志の強そうな、悪く言えば自己中心的で意地悪そうな顔。後で思うと「プラダを着た悪魔」のメリル・ストリープ、という感じだった。

メリルは口を開いた。

ねえ。どうせ誰も他人のことなんて見てないんだから、好きに楽しめばいいのよ

それだけ言うと、彼女はひらりとダンスフロアのド真ん中に進み出て、誰よりも激しく踊り始めた。

僕と連れは顔を見合わせた。ワオ、彼女は圧倒的に正しい。

僕らはどちらともなく席を立ち、フロアに出て踊った。メリルはもう僕らの方を見ることすらなく、一心不乱に踊り続けていた。

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ボンジョヴィの曲を耳にしたり、花園神社の近くを通ったりすると、時々あのボンジョヴィファンらしき女性の言葉を思い出す。誰も他人のことなんて見てないんだから、好きに楽しめばいい。だよね、メリル。

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ハードロックといえば、来年オズフェストが日本に来るね。

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写真はクスコ。



2012年11月1日木曜日

Wire After Wire

タイトルの元ネタがわかった人はいろんな意味でアレw

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irukaたんその後。

先日引き取ってきた試作第三弾を諸々いじりながら、次の試作第四弾の設計を進めちょります。

irukaは前輪が片持ちでディスクブレーキなんだけど、中国側がディスク対応の片持ちハブを見つけられず、日本で調達できたので交換しようとしたら挿し込み口が合わず、挿し込みアダプタを作ってエンドを加工したけどリムが合わず、それでもなんとかホイール組んで、じゃ次は日本で見つけた極小径のディスクローターつけようとしたら台座位置が合わずなどなど、とかくモノづくりってえのは作ってみないとわからないけど作ること自体に時間がかかるというね。

折りたたみ自転車特有の「作ってみないとわからない」課題として、ワイヤ類の取り回しがある。

前ブレーキ・後ブレーキ・変速機と三本のワイヤを、irukaのどこにどう通してどう固定するか。長さはどうするか。無理なく折りたためるか、折りたたみから戻したときにワイヤもちゃんと戻るか。

やり方がまずいと、ワイヤが引っかかって折りたたみに支障が出たり、たたんだときにフレーム間に挟まってアウターが傷ついてしまったり、曲がった状態から元に戻らずブレーキがきかなくなってしまったり。

これはCADなんかではシミュレーションできないから、実物でいろいろワイヤの固定位置や固定方法などを変えて試すしかないんだけど、簡単に思えて実は奥が深いのですよ。美しさも大事だしさ。

なんだけど、デザイナー角南さんと結束バンドで仮のワイヤガイドを作ってとっかえひっかえ試行錯誤した結果、いい感じの取り回し方法を編み出しました。と思う。イエイ。

月末くらいにまた中国に行って、第四弾製作の打ち合わせをしてきます。

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「結束バンド」で検索してて「結束バンドで後ろ手にしばられたときに脱出する方法」なる動画を発見。なるほどー、こりゃいいや。よくあるもんねこういうシチュ。ねえよ。つかないに越したことはない。

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ワイヤワイヤ言ってたら、新宿のWireというクラブに行ったときのことを思い出した。ちょっと印象的な出来事だったので、次回書いてみようと思います。

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写真はイグアスの滝最深部、悪魔ののど笛。