元サムスン電子の常務だった日本人・吉良良三さんのインタビュー「サムスン電子の躍進に学ぶ、グローバル市場を見据えたものづくり」が面白かった。
全編面白いんだけど、第二部の「ものづくり」の議論が特に示唆的。
- 「ものづくり」は「もの=設計思想、ブランド、デザインなど、頭を使うこと」と「つくり=製造工程、手を動かすこと」に分けられる
- 高級ブランドの原価2000円のナイロンバッグが20万円で売れるのは「もの」を売っているから
- 日本は「つくり」で世界を席巻したが「もの」はおろそかに→価格競争に巻き込まれ疲弊
- アメリカはかつて日本に「つくり」を奪われて衰えたが「もの」で復権した
シャープが「亀山ブランド」を売りにしてるなど「つくり」にこだわる日本メーカーが依然として多い一方で、アップルは工場を持たず「つくり」は全て中国・台湾のEMS企業が担っている。
つまりMade in China/Taiwanなわけだが、(僕もそうだけど)消費者は誰もそんなこと気にしない。Designed by Apple in Californiaならどこで作ろうと構わない、と。
日本が「もの=設計思想、ブランド、デザインなど、頭を使うこと」に注力して再成長をめざすべきという考えには禿同だけど、既存大企業よりも新しいスタートアップ企業が新しいブランドを始める方が合理的と思っていて、そのためには、量産工程は中国に任せるとしても試作がネックなんじゃないかなーと思う。
大企業であればEMSに言えば喜んで試作してくれるし社内にもある程度人と設備を持ってるだろうけど、スタートアップは信用がないから大手EMSは相手をしてくれないし、かといって小さいところは人脈などがないと逆に中国台湾で信用できる先を探すのが難しい。
イルカは数社から断られた後にようやく今一緒にやってる会社に出会えたけど、日本で試作を回せる環境があればもっといろんなことが早いのに、と思う。
ま、そういう前提を踏まえていかに前に進められるかが力量ってもんなんですけどね。
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写真は御宿の海の家。海の家って海開き直前になると更地だった砂浜に忽然と姿を現すんだよ。知ってた?
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