東京都が「自転車安全利用推進計画(案)」を発表し、明日12月12日を期限としてパブリックコメントを募集していました。
というわけで僕も書いて送ってみた。
気持ちが入って長くなってしまった。
みなさんもパブコメ送りましょう。
内容に賛同いただける方は、このエントリの全文または一部をコピペして使ってくださっても構いません。
以下全文です。
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当計画案は、総論として「東京において自転車の一層の活用を推進するための計画」としては著しく適格性を欠いていると考えます。
当計画案にもとづく限り、東京はこれからも「先進国の首都としては世界最悪の自転車後進都市」の汚名を挽回することはできない、と暗澹たる気分になりました。
一都民として、大変残念です。
しかしながら、同時に、私は東京都の行政に携わる方々の優秀さ・聡明さ・公正さに全幅の信頼を置いております。
今からでも、当計画案を適切に修正または追加計画案を作成することで、自転車活用をひとつの軸として、行政と都民一丸で東京を世界最先端最先進の環境都市に進化させることができると固く信じております。
以下、提案を記載いたします。
参考にしていただければ幸いです。
1. 利便性・利用度を評価する数値目標を追加すべき
当計画案では、冒頭に「第3 数値目標」として「平成27年中に自転車乗用中死者数25名以下、自転車事故件数13,000件以下、駅前放置自転車数30,000台以下」の3点が掲げられています。
これらの数値目標そのものには異論はありませんが、上記3点は「自転車の利用を妨げ、制限する」ことによっても達成できてしまい、「自転車の一層の活用を推進するための」目標設定としては不十分です。
例えば、千葉市は同市の「自転車走行環境整備計画案」における達成目標として「整備延長(整備率による評価)、自転車に関係する事故件数の減少(整備前後の事故件数による評価)、歩行者・自転車の安心感の向上(アンケート調査による評価)、自転車の利用促進(整備前後の自転車交通量による評価)」の4点を掲げています。
東京都においても、千葉市のように、先の3目標に加えて利便性・利用度の向上を評価する目標設定がまず必須であると考えます。
2. 自転車専用通行帯の整備を再優先課題として具体的な目標と工程案を示すべき
東京が他の自転車先進諸都市と最も決定的に異なり、自転車後進都市たらしめているのが、自転車専用通行帯いわゆる自転車レーンがほぼ皆無であることです。
ロンドンには総延長900km、ニューヨークには同675km、パリには同500kmにおよぶ自転車レーンが整備されていますが、東京都にはわずか10km前後が存在するのみです(自転車通行可の歩道、いわゆる自歩道は含みません)。
警察庁の通達において「自転車は車道走行が原則であり、歩道通行はあくまでやむをえない場合の例外」と明記されているにも関わらず歩道を走る自転車が後を絶たないのは、車道における自転車走行エリアが明確に区分・確保されておらず、不安を感じる利用者が多いことが最大の要因のひとつでありましょう。
自転車レーンの整備は、東京都において自転車の利便性と安全性の双方を高めるための最重要にして最優先の課題であると認識すべきです。
にも関わらず、当計画案において自転車レーンに関連する記述はわずかに「4(1)自転車利用環境の整備」において「道路の構造や利用状況等を踏まえ、自転車道、自転車レーン(自転車専用通行帯)、自転車ナビマーク等の適切な手法を選定した上で、歩行者、自転車、自動車それぞれが安全に通行できる環境を整備します」にとどまるのみで、何ら具体性がなく、その重要性が理解されているとは全くもって考えられません。
前項に述べた利便性・利用度の向上を評価する数値目標のひとつに自転車レーンの整備率または総延長距離を設定し、その具体的な整備工程案を盛り込むべきであると考えます。
3. 都が主体となって整備計画を推進すべき
当計画案において、全編にわたって東京都は「協議会を設置する」「区市町村等の連携を促す」「情報を提供する」「整備を促す」など、「黒子」の立場であるかのような記述が目立ちます。
しかし、例えば明治通りで自転車レーンを整備しようと考えた場合、山手線の内側だけでも港区・渋谷区・新宿区・豊島区と4つの区にまたがっており、全ての区が同じタイミングで連続性・統一性をもって環境を整備することは極めて困難、いや事実上不可能であると思われます。
ニューヨークではブルームバーグ市長、ロンドンではジョンソン市長という、東京都でいえば都知事にあたる人物が先頭に立ち、全市をあげて自転車利用環境を一気呵成に整備してきました。
東京都においても、これまでのような「区市町村任せ」の姿勢を根本的に改め、都が主体となるべきです。
当計画案においても、利用環境整備に関する各項目に関しては全面的に「関係区市町村および民間の協力の元、都が主体となって整備する」という趣旨に書き換えるべきであると考えます。
東京オリンピックの招致成功でその実力が証明されたとおり、都が本気を出せば、東京は世界一の自転車先進都市に生まれ変わることができると確信しております。
以上
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冒頭の写真はオーストリア、インスブルック。イン川ほとり。ヨーロッパの自転車インフラに思いを馳せつつ。
というわけで僕も書いて送ってみた。
気持ちが入って長くなってしまった。
みなさんもパブコメ送りましょう。
内容に賛同いただける方は、このエントリの全文または一部をコピペして使ってくださっても構いません。
以下全文です。
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当計画案は、総論として「東京において自転車の一層の活用を推進するための計画」としては著しく適格性を欠いていると考えます。
当計画案にもとづく限り、東京はこれからも「先進国の首都としては世界最悪の自転車後進都市」の汚名を挽回することはできない、と暗澹たる気分になりました。
一都民として、大変残念です。
しかしながら、同時に、私は東京都の行政に携わる方々の優秀さ・聡明さ・公正さに全幅の信頼を置いております。
今からでも、当計画案を適切に修正または追加計画案を作成することで、自転車活用をひとつの軸として、行政と都民一丸で東京を世界最先端最先進の環境都市に進化させることができると固く信じております。
以下、提案を記載いたします。
参考にしていただければ幸いです。
1. 利便性・利用度を評価する数値目標を追加すべき
当計画案では、冒頭に「第3 数値目標」として「平成27年中に自転車乗用中死者数25名以下、自転車事故件数13,000件以下、駅前放置自転車数30,000台以下」の3点が掲げられています。
これらの数値目標そのものには異論はありませんが、上記3点は「自転車の利用を妨げ、制限する」ことによっても達成できてしまい、「自転車の一層の活用を推進するための」目標設定としては不十分です。
例えば、千葉市は同市の「自転車走行環境整備計画案」における達成目標として「整備延長(整備率による評価)、自転車に関係する事故件数の減少(整備前後の事故件数による評価)、歩行者・自転車の安心感の向上(アンケート調査による評価)、自転車の利用促進(整備前後の自転車交通量による評価)」の4点を掲げています。
東京都においても、千葉市のように、先の3目標に加えて利便性・利用度の向上を評価する目標設定がまず必須であると考えます。
2. 自転車専用通行帯の整備を再優先課題として具体的な目標と工程案を示すべき
東京が他の自転車先進諸都市と最も決定的に異なり、自転車後進都市たらしめているのが、自転車専用通行帯いわゆる自転車レーンがほぼ皆無であることです。
ロンドンには総延長900km、ニューヨークには同675km、パリには同500kmにおよぶ自転車レーンが整備されていますが、東京都にはわずか10km前後が存在するのみです(自転車通行可の歩道、いわゆる自歩道は含みません)。
警察庁の通達において「自転車は車道走行が原則であり、歩道通行はあくまでやむをえない場合の例外」と明記されているにも関わらず歩道を走る自転車が後を絶たないのは、車道における自転車走行エリアが明確に区分・確保されておらず、不安を感じる利用者が多いことが最大の要因のひとつでありましょう。
自転車レーンの整備は、東京都において自転車の利便性と安全性の双方を高めるための最重要にして最優先の課題であると認識すべきです。
にも関わらず、当計画案において自転車レーンに関連する記述はわずかに「4(1)自転車利用環境の整備」において「道路の構造や利用状況等を踏まえ、自転車道、自転車レーン(自転車専用通行帯)、自転車ナビマーク等の適切な手法を選定した上で、歩行者、自転車、自動車それぞれが安全に通行できる環境を整備します」にとどまるのみで、何ら具体性がなく、その重要性が理解されているとは全くもって考えられません。
前項に述べた利便性・利用度の向上を評価する数値目標のひとつに自転車レーンの整備率または総延長距離を設定し、その具体的な整備工程案を盛り込むべきであると考えます。
3. 都が主体となって整備計画を推進すべき
当計画案において、全編にわたって東京都は「協議会を設置する」「区市町村等の連携を促す」「情報を提供する」「整備を促す」など、「黒子」の立場であるかのような記述が目立ちます。
しかし、例えば明治通りで自転車レーンを整備しようと考えた場合、山手線の内側だけでも港区・渋谷区・新宿区・豊島区と4つの区にまたがっており、全ての区が同じタイミングで連続性・統一性をもって環境を整備することは極めて困難、いや事実上不可能であると思われます。
ニューヨークではブルームバーグ市長、ロンドンではジョンソン市長という、東京都でいえば都知事にあたる人物が先頭に立ち、全市をあげて自転車利用環境を一気呵成に整備してきました。
東京都においても、これまでのような「区市町村任せ」の姿勢を根本的に改め、都が主体となるべきです。
当計画案においても、利用環境整備に関する各項目に関しては全面的に「関係区市町村および民間の協力の元、都が主体となって整備する」という趣旨に書き換えるべきであると考えます。
東京オリンピックの招致成功でその実力が証明されたとおり、都が本気を出せば、東京は世界一の自転車先進都市に生まれ変わることができると確信しております。
以上
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冒頭の写真はオーストリア、インスブルック。イン川ほとり。ヨーロッパの自転車インフラに思いを馳せつつ。
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