2011年7月19日火曜日

太陽光6ヶ月レビュー〜収支編


太陽光発電を始めて6ヶ月、先日の「発電能力編」に続いて今日は「収支編」のレビューです。

僕の自宅の屋根には総発電能力3.7kWの太陽光パネルが載っかっています。
ユニット代と工事費でほぼジャスト300万円かかりましたが、区と都の補助金が約100万円ありますので、実質の負担は200万円でした(都の補助金申請がこれがまた嫌がらせかっていうくらい面倒で、実はまだもらえていないけど)。
この200万円の出費に対して、元がとれそうかどうか、という話です。

うちは夫婦とも働いているので、平日昼間は太陽光がせっせと発電してくれていても、電気をほとんど消費しません。冷蔵庫が動いているくらいです。
例えば、太陽光が2.3kW発電しているのに家の中では0.3kWしか消費していないという状況が1時間続いたとすると、2.0kWhの電力が「余剰」になります。

この余剰電力を、「1kWhあたり48円で」東京電力が買い取ってくれます。
太陽光パネルのある家には、普通の電気メーターとは別に「売電用」のメーターがついていて、1ヶ月間の余剰電力の合計×48円が翌月に振り込まれるのです。
これが「余剰電力買取制度」です。

さあ、実績を見てみましょう。

売電kWh売電金額
1月279kWh13,392円
2月228kWh10,944円
3月278kWh13,536円
4月369kWh17,712円
5月289kWh13,872円
6月182kWh8,736円
計1,625kWh78,192円


半年で8万円弱ですから、1年で16万円とすると、12年半で元が取れる計算です。
僕個人としては「思ったより上出来」というところでしょうか。
太陽光パネルの寿命は10年〜20年くらいと言われていますので、もしパネルが20年もったら100万円以上の利益が出ますからねー。

ちなみに、5月の売電(余った電気を売った)の明細はこんな感じです。
右下に「買取単価48円00銭」と書いてあります。



こちらは買電(電気を使った)の明細。
329kWh使って3,272円ですから、割り戻すとkWhあたり9.9円です。



東電が10円前後で売っている電力を、48円で買わせているわけですから、なんだか申し訳ありませんねw

申し訳ない、というのは東電に対してではありません。太陽光パネルを持っていない方々に対してです。
東電をはじめ日本の電力会社は、余剰電力買取の原資を、「太陽光促進付加金」として全ての世帯から電気料金に上乗せして集めているからです(東電は消費電力1kWhあたり0.03円、他社も計算式が異なるが大体それくらい)。

もう一度5月の明細を見てみましょう。「太陽光促進付加金9円(消費電力329kWh×0.03円=9.9円切り捨て)」という記載があります。
負担は全世帯なので、うちも5月は9円払ったうえで、13,872円を受け取っているわけです。



こうして、全国の4900万世帯と600万事業所から広く薄ーくお金が集められ、太陽光を設置している40万世帯に振り分けられているわけです。
これが良いか悪いかではなく、こういう仕組みだということです。

さて、僕は12年半で元がとれそうで、うまくすれば利益も出る可能性がありますが、これは「良い方」でしょう。
うちは共働きで昼間の消費電力が小さいのと、蓄熱暖房という深夜電力を使う暖房器具を入れているので、余剰電力が生まれやすい家なのです。
一般的にはもう少し収支見通しは厳しく、かつ今年から買取単価も下がったこともあり(48円→42円)、もう太陽光の普及は頭打ちでしょう。

そこで出てきたのが、菅首相&孫社長肝いりの、通称・再生再生エネルギー促進法案こと、固定価格全量買取制度(フィードインタリフ、FIT)です。

全量、すなわち「余った電力だけ」ではなく「再生可能エネルギーで発電した分を全て」電力会社に買い取らせる、という法案です。
再生可能エネルギーといっても太陽光から風力や地熱などいろいろありますが、買取単価は太陽光が42円/kWh、それ以外が15~20円/kWhと、太陽光が著しく高い設定になっています。

この法案が通った場合、僕の家の収支はどうなるでしょうか。

長くなるので続きます。

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冒頭の写真は自宅への来客にいただいたひまわり。

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追記)48円の買取単価は10年間しか保証されていませんので、もし11年目以降に単価が大きく変動した場合は収支も変わります。


2011年7月7日木曜日

父の起業(ただし未遂)


もう昨年のことですが、Twitterのやりとりで思い出したので書いておこうと思います。
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父は仕事を引退してから、ふぬけていた。

父よりかなり前に看護婦の仕事を定年でやめていた母は、ボランティアを始めたり、趣味のちぎり絵や手芸をやったりしてそれなりに楽しそうに過ごしていたが、父はあまり出歩かず家でテレビを見ているばかりだった。
健康にも気を遣わず、時折「何のために生まれたかわからない」などと言うこともあったという。

父は元国鉄職員だ。
元、というのは未成年のうちから30年以上働いた国鉄を民営化の際に退職し、以後は70過ぎまでビル管理員などをやっていた。
父の一家は戦中に移住先の満州で父親(僕の祖父)を病気で亡くし、ソ連兵に追われて命からがら日本に帰ってきた。
大黒柱をなくした一家は貧しく、父は家計を支えるため高校を中退して国鉄に就職したのだった。

父は僕が公務員になることを希望していた。
あの国鉄でさえああなってしまったのだから、安心できるのは県庁か市役所くらいしかない、というわけだ。
それがよりによって起業など、ということで、僕はオプトに入る前に一時期勘当状態にあった。
社長の鉢嶺が僕に内緒でとりなす手紙を父に送ってくれたりして勘当は解けたが、とにかくまあ、そういう性格だ。

仕事人間、ではない。
仕事人間ではないが、働いていることは彼の重要なアイデンティティだったのだ。

さて、と考えた。

起業させよう、と思った。

なぜ起業か。
もちろん趣味やボランティアでも良いのだが、父は起業が一番熱中できると思ったのだ。
なぜなら、僕がそうだったから。
(まあ僕は趣味にも打ち込んでますけどねw)

ともあれ僕が考えたのは、ランチタイムだけ営業する小さな定食屋か移動店舗だ。
父は僕と同様料理が好きで「余裕があれば飲食店をやってみたかった」と言っていたことがあった。
メニューを思い切って1〜2種類に絞って売り切れたら営業終了という形にすれば経営はシンプルだし、うまくすれば繁盛すると思った。
僕自身も実は飲食店経営に興味があったということもある。

男の親子というのは、どうも話すだけだとついお互いぞんざいな口調になって無用に衝突することも多い。
僕は簡単にパワーポイントに提案をまとめ、出張の帰りに静岡の実家に寄って話を持ちかけてみた。

無理だ、というのが父の反応だった。
体力的にもきついし、不動産屋を回ったり免許をとったり、やることが多すぎて自信がない、と言う。

つまり「嫌だ」ではなく「興味はあるが自信がない」ということだ。
僕は話を続けた。資金は僕が出す、何も何千万もかけて勝負しろと言ってるのではなく数百万で始めて、資金が尽きたらすっぱりやめればよい、元気なうちにやってみたらきっと楽しい。

二週間後に返事があった。
ありがたい話だが、やはり起業はしないという。
60代だったら一も二もなくやっていたと思うが、もう70代も半ばではさすがに無理がきかない、気楽にやれと言っても自分の性格上店を潰さないよう根を詰めてしまうだろうから母にも迷惑をかけてしまう、云々。

二週間の間に、父なりにいろいろ調査したようだ。
必要な届出や資格取得のため方法、静岡の不動産の賃料相場、街に出かけて実際の店を偵察して回ったりもしたらしい。
手書きの損益シミュレーションは、元上場企業CFOの僕wwwから見てもなかなか緻密でよくできていた。

普通に考えたら突拍子もないともいえる提案に拒絶反応を起こすことなく、先入観なしにリサーチを進めて結論を出したことに、やるじゃん、と思った。

こうして父の起業は未遂に終わったが、以降、父は格段に元気になった。
ウォーキングを始めて日焼けし、かなり体重を落として健康的になった。今がこれまでで一番体調が良いらしい。

やはり起業というのは、小規模でも、例え未遂に終わったとしても、人を楽しく、エナジェティックにさせるのだ。

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用意していた起業資金は、両親の旅行資金としてプレゼントした。
二年続けて夫婦で北海道に行ったり、親戚を温泉に招待したり、楽しく遣ってくれているようだ。

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写真は安曇野・有明神社。


太陽光6ヶ月レビュー〜発電能力編


自然エネルギーの話題がホットな折柄、昨年末に自宅を新築して太陽光発電を始めてから半年たちましたので、実数値を出してレビューしておきたいと思います。

まず6ヶ月間の延べ発電量。
下の写真では2796kWhとなっていますが、6ヶ月を10日ほど過ぎた時点で撮影しましたので、6ヶ月ジャストでは2700kWhくらいです。



これが多いか少ないか。

設備利用率、すなわち「最大発電能力に対してどれくらいのパフォーマンスだったか」を考えてみます。
うちの太陽光パネルの最大発電容量は3.7kWですので、設備利用率=発電実績2700kWh/最大発電能力16000kWh(3.7kWh×24時間×180日)=17% となります。
低いなあと感じる方も多いと思いますが、日本の太陽光の稼働率(発電した時間数/総時間数)が平均12%と言われていますから、大体符合する感じです。

では絶対的な発電量としてはどうか。
我が家の1月〜6月の総消費電力は約11000kWhでした(ちなみにオール電化です)。
入居当初は蓄熱暖房機の加減がよくわからず使い過ぎてしまったのと、3ヶ月ほど義母が一時的に同居していたので、もう少し少なく済んだはずと思います。本来は9000〜10000kWhくらいでしょうか。実際、冷暖房を使っていない5月6月は、月300kWh台でしたので。

総消費10000kWh前後に対して発電2700kWhですから、ざっくり我が家の総電力の30%にあたる電力を太陽光が発電したことになります。
うちは夏に冷房をほぼ一切使わない&夏は日照量が多いですから、通年では総電力の35〜40%相当を太陽光が発電することになりそうです。

キャパシティの17%しか使ってないのに総電力の4割近くも発電するの?すごくない?太陽光やばくない?自然エネルギー100%も夢じゃなくない?

・・・という気持もわかりますが、はっきり言って総電力の比率を見ても実用性の観点ではほとんど意味がありません。
電気は貯めることが(ほぼ)できないので、刻々と変動する電力需要に対して、常に安定した電力を供給できるかどうかが重要なのです。

実際うちは夫婦二人とも働いているため、平日はほぼ夜しか電気を使いませんが、当然ながら夜間の太陽光発電はゼロです。
もちろん昼間余った電力は東電が買い取ってくれて他のご家庭で使われるわけですが、以前も書いたとおり、時間帯と天候によって出力が大きく上下するため、「太陽光の発電がゼロになってもいつでも十分な電力を供給できるバックアップ電源」が必ずペアで存在しないと、単体だけでは成り立ちません(「いつでも十分な」を満たしていないので風力ではダメ。現状は現実的には原子力か火力しかない)。

逆に言えば、電気を貯める技術(蓄電技術)にブレイクスルーが起きれば、太陽光・風力などの自然エネルギーだけで少なくとも家庭用の消費電力くらいは賄えそうな感じはしますね(東京電力管内の電力需要は家庭用が65%で産業用が35%)。

ただし、さらに逆に言えば、今世界中に存在する全ての電池・バッテリー類をかき集めて充電しても世界の電力需要を10分しか賄えないと言われており(by ビル・ゲイツ)前途は多難、というか見通しさえ立っていないのもまた事実です。

ということで、太陽光発電ユーザーとして半年が過ぎた僕の感想&考えは:

「現時点では自然エネルギーだけに頼ることは無理だが、ポテンシャルはある。ただし自然エネ100%社会を実現するには蓄電技術の大きなブレイクスルーが必須であり、その目処は立っていない現在では、温暖化と大気汚染の進行を防ぐためにも『当面は』原子力の継続運用が必要である」

自分で言うのも何ですが、論理的ではないでしょうか。

自然エネルギーを推進するためには、推進派は反対派・懐疑派よりも、よりデータとファクトを重んじて、論理的・合理的である必要があると思います。
でなければ、社会全体を説得できませんし、正しい制度設計もできません。
が、今は逆に、自然エネルギー推進派というと、過度に情緒的な、中にはファナティックと言ってもよい人も少なくなく、無用な反感反発を生んでしまっているように思います。

まあ僕は僕で、データがないと何もできない男、という自覚はあるのですがw

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我が家の太陽光発電の経済的な収支についても別途書くつもりです。

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写真は安曇野にて。山吹。


2011年6月27日月曜日

経営者の義務と権利


僕の前職オプトの元代表・海老根(現在は取締役会長)がブログを始めていた。
彼が代表に就任してオプトが倒産寸前の状況からカムバックしたときのことも書いてあるのだが、あまりにもあっさりしてて参考にならないので補足しておこうと思いますw

本文転載:

海老根の経営戦略の基本的な考え方を書きます。
  1. お客さんは誰か?
  2. お客さんは何に困っているのか?
  3. 自社の強み・独自性はなに?
この3要素を明確にすること。これだけです。言い換えると「誰の・どのような困りごとを・何を強みに解決する会社なのか」ということ。2001年にオプト代表になったときはこう決めた。
  1. ネット広告に主にダイレクトレスポンスを求める企業
  2. 広告の投資対効果を高めたいが、やりかたがわからない
  3. 自社開発の効果測定システム
この3点が決まれば、他の戦術も自動的に決まる。営業先のアタックリストも、営業に行ったら何から話すべきかも、採用の仕方も、ほとんど決まってしまう。逆に言えば、この3点が決まっていないと、他のことも全て場当たり的になってしまうんだよね。



解説します。

2000年、オプトはそれまでのファックスDM会社からネットの会社に事業転換を図り、VCを中心に約3億円を調達して(僕はCFOでした)4つのネット事業を立ち上げた。
が、どれもなかなか、というか全くうまくいかず、年末にはあと数ヶ月で資金が尽きて倒産という状況に追い込まれていた。
経緯は省くが、当時ネット広告代理部門を勝手にw立ち上げていた海老根(創業メンバーの一人ではあったが、入社が遅かったこともあり当時は役員ではなかった)が、翌2001年から代表取締役COOとして実質的なトップについた。

結果を先に書いてしまうと、2000年には年商3億円・営業赤字2億円(!)という状況だったのが、彼がトップ就任後3ヶ月で単月黒字転換し、3年後の2004年2月にはジャスダックに上場した。
2000年から2004年にかけて日本のネット広告市場は3倍(590億円→1814億円)に伸びたが、オプトの売上高はその間実に32倍(3億円→95億円)に成長していた。

強烈な、魔法のような体験だった。
成功のポイントは何だと思うか、と聞かれたら、以下の3つを上げる。
(上場すれば成功だとは思ってないけど、ここでは便宜的に「成功」と言わせてください)

フォーカス
2000年のオプトはマンション情報サイトなど4つの事業を行っていたのを、海老根は「ネット広告代理事業」一本に絞り込んだ(4つの事業のうち2つは事実上凍結して後に売却、1つは広告代理事業の1サービスとした)。
のみならず文中にもあるように「ネット広告に主にダイレクトレスポンスを求める企業」に顧客を絞った。これは逆に言うと「広告にブランディング効果や認知度アップ効果を求める企業は顧客にしない」ということだ。
さらにその後、顧客とする企業の業種も絞り込んだ。
実に3段階もの絞り込みをかけたわけだ。
そして僕たちは文字どおり「朝から晩まで」ネット広告代理事業のこと「だけ」を考え続けた。
結果は上記のとおり。もちろん機会損失もあったが、失ったよりはるかに大きな機会を手に入れたと思う。
「一つのカゴに全ての卵を入れてはいけない」という言葉は投資家のための教訓であり、事業は逆であるというのが僕が経験から得た考えだ。

明確な事業ドメイン
事業ドメインとは単に業態を言うのではなく「誰の・どのような困りごとを・何を強みに解決する会社か」の3点を定義することであり、事業ドメインが決まれば下位の戦略戦術は全て自動的に決まるというのが海老根の考えだった。
文中にあるとおり、彼はオプトの事業ドメインを「ネット広告に主にダイレクトレスポンスを求める企業の・広告の投資対効果を高めたいがやりかたがわからないという困りごとを・独自の効果測定システムを強みに解決する会社」と定義した(これは表現を変えると「広告効果を数値化して、効果が曖昧で不明確なまま広告を出し続けることから企業を解放する」というミッションにもなる)。
その結果、以下のような戦略戦術が「自動的に」実にすらすらと決まっていった。

営業先: ネット広告に主にダイレクトレスポンスを求める企業のみ。
営業手法: 初回は必ず効果測定システムの導入を提案。
トレーニング: まず効果測定システムのロープレを徹底。
採用: 広告業界の慣習にないことを始めるのだから広告業界経験者は特に募集せず、若さとポテンシャルのみ重視。
重点商品: CPA(キーとなる広告効果指標)が優れた広告メディアを優先的に仕入&販売。

事業ドメインを定義することによって、僕たちは自分たちが何者であるかという強いメッセージと、スピードを手に入れたのだ。

トップのハンズオン
海老根は会社の代表であると同時に、事業責任者でありネット広告マンだった。
特に営業には力を入れていて、最初の1〜2年は顧客との重要なミーティングにほとんど出ていたように記憶している。
会社のトップが事業のトップでもあることは当たり前のようだが、実はベンチャーでもトップの下に複数の事業責任者がいる会社は多い。
トップが責任者に丸投げして成果が出ないとすぐハシゴを外してしまうのでは、同じ事業でも結果は全く異なると思う。
サイバーエージェントのAmeba事業が成功したのは複数の要因があると思うが(僕はAmeba事業をシニカルに見ていたことを白状しなければならない)、藤田社長自身が事業責任者であったことは最大かつ外せない要因ではないか。

・・・これらの方針の決定にあたって、僕が果たした役割も大きかったと言いたいところだが、残念ながら事実は違う。
フォーカスも事業ドメインも、基本的には海老根が一人で決めた。
以来僕は、会社のミッションとビジョン、そして事業ドメインを決めるのは経営者の義務であり、権利でもあると思っている。

お察しのとおり、その権利を自分でも行使してみたかったということも、僕がイルカを始めた理由の一つだ。

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海老根を美化しているような気がしなくもない。
バランスをとるために書いておくと、彼は立ち飲み屋をこよなく愛し、泥酔して多摩川河川敷の草むらで目覚めたり、カバン・財布など所持品一式をなくしたりする破綻者である。

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写真は安曇野のアカマツ林。


2011年6月22日水曜日

太陽光発電は好きですか?


太陽光発電は好きですか?
僕は好きです。

どれくらい好きかというと、総発電能力3.7kWという個人宅としては割と大きい部類の太陽光発電パネルを自宅に導入しているくらい好きです(また、発電以外にもパッシブソーラーという太陽熱を利用した空調補助システムも入れています)。

そんな僕ですが、孫正義ソフトバンク社長と菅直人首相が、これほどまでに太陽光発電が好きな理由が理解できません。

6月某日、晴れているときの自宅の発電状況です。
2.4kW、すなわち2400W発電してますよ、ということですね。
僕は冷房をほとんど使わないので、夏でも支障なく生活できる発電量です。



日が陰って1.7kWに落ちました。



こちらは曇りで夕方近くのとき。0.1kW。
冷蔵庫も動かせません。



日本における太陽光発電の稼働率は12%、つまり一日24時間のうち3時間弱しか発電してくれない計算ですが、発電中も電力が大きく変動するのがわかります。

発電量が必要電力を下回ればブレーカーが落ちてしまいますし、そもそもこんなに電力が変動すると電気機器が壊れかねません。どうするのか?

そうならないよう「パワーコンディショナー」という機械が活躍してくれます。

例えば1000Wの電力が必要なのに太陽光からの供給が300Wしかなくなったとすると、パワーコンディショナーが瞬時に不足分の700Wを東京電力が供給している電力から引っ張って1000Wにした上で家の中に流すわけです(逆に必要電力1000Wに対して太陽光が1200W発電していたら、余りの200Wは電力会社に流して買い取ってもらいます。これが「余剰電力買取制度」です)。

では、東京電力が停電になったらどうなるのでしょう?

太陽光発電からの電力供給は自動停止します。
電力会社の電力がないと、家の中に流す電力を安定させることができないからです。

僕が自宅に入れている三菱電機の太陽光発電システムの注意書きから抜粋してみましょう。


停電した場合、太陽光発電システムの運転は自動的に停止しますが、パワーコンディショナ本体にある『運転切換スイッチ』を自立運転に切り換えることで、パワーコンディショナ本体にあるコンセントより発電した電力をご使用することができます。

<重要>パワーコンディショナから供給される電力は、日射量により出力が変動するため不安定な電力となります。よって、電力供給の変動により、損傷する恐れのある機器や使用上問題がある機器(バッテリーのないPC・メモリー機能のある機器等)への接続はしないようにしてください。

<警告:特に生命に関わる機器への接続は、厳禁とします。>



太陽光発電だけになると不安定な電力で機器を壊したり場合によっては生命に関わる危険性があるので、メーカーとしては責任とれないから自動停止するよと。
使いたければ自己責任でコンセントにつなぎ直して電力使ってくれよと。

disってるわけでもなんでもなく、太陽光発電とは(風力も同じですが)こういうものなのです。
こういうもの、というのは、無尽蔵かつクリーンなすばらしいエネルギーですが、最大発電量と同じだけのバックアップ電力がないと実用に耐えない、ということです。

太陽光発電の普及が進み、東京電力管内の夏の最大電力5500万kWのうち、3割強にあたる2000万kWが太陽光で発電できるようになったとしましょう。
実にすばらしい。
ところがこの2000万kWは、曇ったり雨が降るとゼロ近くに、そしてもちろん日が沈むと完全にゼロになってしまいます。
従って東京電力は、太陽光で最大2000万kW発電できるようになったとしても、いつでも2000万kW発電できるだけの別の手段を確保しておかなければなりません。
それはつまるところ原子力か火力です。現時点では「いつでも安定して」発電できる手段は、僕が知るかぎり原子力か火力しかないからです。

橋下府知事は関西電力に「原発をやめて太陽光など自然エネルギーにシフトすべき」と言っていますが、関電は原発で5割の電力を賄っていますから、もし本当に原発をやめるなら、太陽光を増やすだけでなく、「節電で総電力を2割減らした上で、火力の発電容量を3割増やす」というようなことをしなければなりません。
太陽光を増やすだけで脱原発が実現できるかのように言うのは明らかなミスリードです。

もう一つ、菅首相が孫社長の強力な後押しを受けて「固定価格全量買取制度」法案を成立させようとしています。
自然エネルギーで発電した電力を全て(余った電力ではなく発電した電力を全て)固定価格で電力会社に買い取らせるという法律です。

これは考えてみるとすごい制度です。
ソフトバンクは太陽光発電事業を始めるようですが、この制度があれば、普通の商売と違って営業活動が一切必要ありません。電力会社が「全量」買い取ることが義務付けられますから。
また、普通は競争相手の出現や大口顧客の要求などで値下げ圧力がかかりますが、その心配もありません。「固定価格」ですから。

まあ太陽光パネルの普及は進むでしょうが、同じ制度を導入して太陽光パネルの設置が増えたドイツとスペインでも太陽光発電の割合はそれぞれ2%と3%にとどまっていることは留意すべきです。
また、読んでいただいてわかるとおり、エネルギー政策というのは、それぞれメリットデメリットある発電方法をどう組み合わせるかというポートフォリオの問題ですが、孫社長が口にするのは太陽光のことばかりです。
諸外国では太陽光より風力の方が活用が進んでおり、ドイツでは総電力の8%、スペインでは同20%にまでなっているにも関わらず、です。

ちなみに法案の買取価格は、太陽光発電が1kWhあたり40円台、その他の自然エネルギー発電が同15-20円という話で進んでいるようです。
おや、太陽光だけ買取価格が高いんですね。

ここで冒頭の問いに戻ります。
孫社長と菅首相はなぜこれほどまでに太陽光が好きなのか?

孫社長はポジショントーク、菅首相は孫さん人気にあやかろうとしているだけと感じてしまう僕は、ひねくれているのでしょうか。
もっとも、お二方ともご自宅に太陽光発電を入れてなくて実態を知らない、という可能性もありますがw

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橋下府知事は「原発を動かさなくて済むように冷房を止めよう」と言い始めました。「冷房か原発か」というアジェンダ設定は、火力増加の視点が欠けているものの、議論しやすくて良いですね。

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冒頭の写真はアイスランド南海岸沿いにて。教会がポツンと。アイスランドの写真は3月に行ったのを小出しにしてきたんだけど、さすがに暑くなって違和感出てきたw


2011年6月17日金曜日

穴掘り拷問と企業経営


世の中でもっともきつい拷問は「穴掘り拷問」らしい。
囚人に一日中大きな穴を掘らせ、次の日にはその穴を埋めさせ、また次の日には穴を掘らせ・・・以下繰り返す、というもの。
ナチスの強制収容所だか旧ソ連時代のシベリアだかで(要はロクでもない時代のロクでもない場所ということ)流行ったらしいが、1週間もするとどんなに屈強な囚人も音を上げ、発狂する者も少なくなかったという。

目的のない作業の繰り返しは人を疲弊させ、やがて狂わせるということだ。

「スターバックス再生物語」を読んでいて、スタバが拡大一辺倒の時期に、一人の社員が「我々は走り続けている。だが何のために走っているのかわからない」と漏らすシーンがあった。
会社全体が、目的を見失って穴掘り拷問をしていたのだ。

以下は僕のささやかな経験から。

「穴のサイズ」は目的にはなりえない。
「20XX年に売上高◯億円・営業利益◯億円をめざす」→「深さ5メートルの穴を掘る」と言っているだけだ。

「穴の大きさの順位」も同じだ。
「世界一の△△をめざす」→「隣の収容所より大きい穴を掘る」と言っているに過ぎない。

いずれも多少は競争心を刺激する効果はあるかもしれないが、人の心に芯から火をつけることはない。

人の心に火をつけるのは、「事業を通じて世の中にどのようなインパクトを与えるか」、より具体的には「誰を/何を手段に(強みに)/どのように幸せにするか」という使命感だと思う。

前職オプトでは退任まで13年間、総じて幸せで楽しい時間を過ごしたけど、とりわけエキサイティングだったのは2001年から2004年だった。
僕の在籍期間中では、会社としての使命が最も明確だった時期だったからだ。

2001年に独自の効果測定システムを世に出し、広告効果を全て数値化して顧客(広告主)と共有することを始めた。
当時としては画期的であるかわりにタブーに近く、各方面からバッシングも受けたけど、顧客には一円たりともムダな広告費を使わせないという自負があった。
あいつらはCPAしか語れないとか、あいつらのせいでメディアが育たないとか当時から、そして未だにdisられ続けているけどw、まあそれくらいインパクトがあったし、何より顧客の支持は絶大だった。
その結果として業績は毎年倍々で伸び(市場全体も伸びていたが、市場平均をゆうに上回って成長した)、2004年には上場をはたした。

以来、使命(=穴を掘る目的)は企業の全てを決めるというのが僕の信条です。

株式会社イルカはまずは早く製品を世に出すのがさしあたっての課題だけど、発売していきなりヒットしたとしてもw「いつも自転車と共に行動するライフスタイルを広めること」を通じて「自転車で人と地球をハッピーにする」という使命を忘れずに経営にあたろう、なんてことを雨の午後にスタバで「スターバックス再生物語」を読んで思いました。

はい、まずは発売ですよね。わかってますわかってますってw

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実は「スターバックス再生物語」はあんまり面白くない。

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写真はレイキャビクのショッピングモールにて。テレタビーズが好きなのだ。毎度のことながら本文とは関係ない。


2011年6月10日金曜日

冷やし中華、もとい、キャリア始めました


iruka本体は前回も書いたとおり試作第三弾のデータ作成中ですが、irukaプロジェクトとしては自転車以外にバッグとキャリアの類も並行して開発中です。

バッグもキャリアもirukaに最適化しつつ、他の主だった折りたたみ小径自転車でも使えるようにします。
irukaのミッションは「自転車で人と地球をよりハッピーにする」、そのために「いつも自転車と共に行動するライフスタイル」を広めたい。
一番良いのはiruka自転車を買ってくれることだけど、人によってはBD-1やブロンプトンの方が好きだって人がいるのも理解している。
そんな人もirukaブランドのバッグやキャリアを使って折りたたみ自転車のライフスタイルをより楽しんでくれたらいいな、と。

僕が思うに、普通のリアキャリアや前カゴはエレガントではないんですよね。
必要ないときもそこに常にくっついているから。

かといって、デイパックやメッセンジャーバッグを背負うのも肩がこるし暑い。
リクセンカウルのように取り外し可能なバッグもありますが、自転車本体にアタッチメントをつける必要があるしバッグが限定されるのがいただけない。

一番良いのは普段自分が使っているデイパックやバッグ類を自転車に装着して走れることだと思っていて、そのために脱着可能で折りたたんで持ち運べるキャリアを開発中なのです。

自分でオリジナルの自転車とアウトドア製品のブランドも持っているデザイナーの角南さんが木材などで作った原理試作を持って静岡は御殿場駅に降り立つの図。
(現物は例によってまだお見せできません。すみません)



なぜ御殿場かというと、自転車フレームも作っている老舗のアルミ加工会社に試作できないか連絡してみたところ、ぜひにと言っていただいたため。

富士裾野の森の中の工場には所狭しと様々な機械群が鎮座ましましています。
日本のものづくりの伝統を体現するマエストロ社長が、うれしそうに一つ一つ使い方を説明してくれました。







この日Twitterで「今日は工場に行きます」とつぶやいたところ「工場好きです」とか「私も行きたい」とか、どこに隠れてるのか工場萌えな人たちがいっぱい釣れて驚いたw

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冒頭の写真はレイキャビクのスーパーにて。旅先で市場やスーパーに行くのが好き。