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TPPをめぐる議論がにわかに盛んだ。
最初に書いておくと、僕は100%賛成。
TPPに賛成というか、そもそも関税のない世界の方がよいに決まっている、と思っている。
日本における自転車の輸入関税はゼロ。
僕はirukaを中国で量産する予定で進めているが、もし政府が国内の自転車製造業を保護するために、関税をかけていたらどうなるだろう。
かつて日本は世界有数の自転車製造国であったのが、人件費が安い台湾と中国からの輸入が急増した結果、わずか20年ほどの間に国内の自転車製造業はほぼ壊滅した。
だからまあ、パラレルワールドの話ということで。
わかりやすくするため、関税率100%とし(つまり実質的な製造コストは倍になる)、中国での製造コスト+関税=日本での製造コスト になると仮定する。
中国で作っても日本で作ってもコストが同じで、かつ品質にも大差なければ、まあ日本の方がコミュニケーションも楽だし日本で作ろうかな、と僕も考えるだろう。
コストが倍になった分だけ価格も高くせざるをえないが、海外ブランドの輸入自転車にも関税がかかるので国内での価格競争力は変わらない。
かくして国産irukaが誕生する。めでたしめでたし。
んなわけない。
まず、必要な資金が倍になる。
初期ロット500台を製造するのに、仮に1台あたりの製造コストが中国2万円、日本4万円だったとする(あくまで仮ですよ)。
中国で作って関税がなければ1000万円の初期コストで済むのが、関税がかかることで中国製でも日本製でも2000万円必要になる。
僕は幸いなことに資金面ではさほどの苦労はないが、若いスタートアップの人たちにとって、初期の資金は非常にシリアスな問題だ。
もうひとつ、関税で守られていない国外においては、高コストの国内生産では価格競争力はない。
日本の外に出たら競争力がないということであれば、irukaも必然的に国内志向にならざるをえない。
要は関税というのは、国内生産・国内販売だけで既に商売が回っている人たちにとっては良いが、生産・販売ともにグローバルで考えて新規参入しようとする挑戦者にとっては事業の自由度を狭める厄介なものでしかない、ということ。
逝ってよし、と思います。
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というわけで明日からまた中国です。
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日本は自転車の実売価格が突出して安く、そのせいもあって放置自転車(遺棄自転車)が非常に多いという問題があるのは確か。
価格維持のためにも欧米同様に輸入関税をかけるべきではないかという議論もあるが、僕はメーカー側がより付加価値を高める努力をすべきと思う。
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写真は坂の下から望んだ青山墓地。

こんな話を聞いた。
最近は、カレー専門店を名乗っていても実はハウスやSBなど大手食品メーカーが作った業務用のレトルトカレーを使い、その事実をカモフラージュするためにインド人店員を雇っている店が増えている、と。
真偽のほどは定かではないが、ありえる話だし、以下のようなシーンが脳内で再生されて、ちょっと笑ってしまった。
カレーづくりの腕を活かそうと意気込んで有名カレー店に採用されたのにウェイターの仕事しか命ぜられず、懊悩するインド人男性ラジブ(27才、デリー出身)。
「オレにもカレーを作らせてくれ」直訴しようと意を決して厨房に入ると、そこにはハウスのレトルトカレーを温める杉山(カレーショップ店長、43才、埼玉出身)の姿がーーー。
笑ってしまうけど、誰がどう作ってようと関係ない、とはならないのが人間というもの。
ブラインドテストではスタバよりマックのコーヒーの方がおいしいという結果が出るらしいが、スタバの客が次々とマックに鞍替えして押し寄せているという話はついぞ聞かない。
舌が感じた味覚をインプット、脳が認識した味覚をアウトプットとすると、インプットとアウトプットの間には無意識のブラックボックスがあって、誰がどのように作ったかなど、本来の味覚とは関係ない情報が極めて大きな影響を与える、ということ。
さもありなんと思うが、この傾向は味覚に限らず、消費行動全般におよぶらしい。
その辺に転がっているガラクタでも、その品物の来歴や思い出をストーリー仕立てででっち上げてeBayに出すと驚くほど高値で売れるという実験結果がある。
プレミアムブランドを築くカギはストーリーにあり。
あ、irukaはストーリーをでっち上げたりはしないので念のためw
Appleみたいに、ユーザーが勝手に「iPhone 4Sは、実はiPhone for Steveの意味なのだ」なんてストーリーを語り始めて大ヒットしたら楽なんだけど。
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写真は安曇野・烏川渓谷。

孫さん(孫正義ソフトバンク社長)は本当にすごい人物だと思う。
ヤフーで日本にネットビジネスを創り、ナスダックジャパンで日本に新興市場を創り、ヤフーBBで日本を世界一のブロードバンド大国にした。
日本の全てのネット企業の父と言ってもよいくらいの存在である。
僕なんかマジで足を向けて寝られない。
なんだけど、iPhoneが圏外とアンテナ1本の間を行きつ戻りつするとき、我々は「ざけんな。auに変えるぞゴルア」と感情を高ぶらせ、孫さんのこれまでの全ての偉業に対する尊敬と感謝の念をキレイに忘れてしまう。今朝もそうだった。
僕はフィリピン人講師とスカイプで会話する某英会話サービスのユーザーで、とりわけ同社の「日本人1000万人が英語を話せるようにする」というビジョンに共感してファンであることを公言している。
なんだけど、先日3回連続でレッスンが無断キャンセルになる事態があり、ファン宣言を撤回して他の会社に切り替えようかと思ったことがあった(フィリピンが台風に直撃されてやむを得ない状況だったと後でわかった。今は全く問題なく、またファンに戻っています)。
企業というのは事業を行うことが本分なので、事業が全て、それも過去ではなく現在の事業が全てなのだ、と改めて思った。
現在の事業で価値を提供できなければ、理念とかビジョンとか経営者の経歴とか人事制度や組織形態とか過去の業績とかがいくら立派でも、一瞬にして上書きされてしまうのだなあ、と。
僕もirukaを発売したときに全てが上書きされて評価されるわけで、楽しみではあるけど正直言うと怖い気持もある。
だから時間がかかってるわけではないけどw
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日々雑感的な内容も書いて、少しブログの頻度を上げようかなと思っています。
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写真は神宮球場の照明と月。

警視庁が「自転車の歩道走行禁止の厳格運用」に乗り出すらしい(リンク切れ用魚拓)。
賛否両方の声があるようだけど、僕は基本的に賛成。
反対を唱える人の多くは「自転車レーンなどを整備せずに車道走行を徹底したら、事故が多発する」と言う。
それはもっともなんだけど、レーン整備を待っていたらおそらく永遠に何も変わらないだろう。
誤解を怖れずに言うと、事故が増えるくらい車道走行が一般的になれば、自転車レーン整備の気運も一気に高まると思う。
その上で、僕なりの意見をいくつか加えると:
1. 歩道は原則走行禁止より徐行義務に
2. 車道走行時の尾灯点灯義務を
3. 自転車の違反行為全般に関して罰則を厳しく
自転車は車道を走る方が良いに決まっているけど、自転車レーンがない現状では、子どもを載せたママチャリなどに車道を走れというのは酷な話。高齢者や子どもも同じだが、だからといって歩道を爆走されたら危険極まりない。
自転車と歩行者のエリアを分けた歩道もあるけど意味ないのでこの際全廃して、誰が乗ってようがどんな自転車だろうが、歩道では徐行すべし(例えば時速8km以下)、に統一すべきと思う。
ついでに、警官が率先して車道を走るべきだという声が多いが、パトロール目的のときはむしろ歩道を走るべきではないか、と最近思い始めている。車道では速すぎて不審者・不審物を発見できないだろう、と。
パトロール中はサイコンつけて歩道を時速8km以下で走り、追い抜いていく自転車があったら速度違反で呼び止めればよい。ただし事件の現場に行くときなど単なる移動時はもちろん車道を通る。
尾灯点灯義務というのは、自動車側から見たらごく当たり前の話だと思う。
僕は車を運転しないが(つかできないw)、タクシーや妻の運転で何度も尾灯がない自転車にヒヤリとしたことがある。
もちろんこれらが罰則などなしに改善すれば理想的だが、数千万人が日常的に自転車に乗っている中で状況を変えようと思ったら、ある程度の罰則強化はやむを得ないと思う。
自動車でも罰則を厳しくすることで飲酒運転禁止やシートベルト着用などが一気に徹底されるようになったし。
自転車においては、特に車道逆走と歩道暴走(速度違反の取締は工夫が必要だけど)、そしてノーブレピストについては相当厳しくしてもよい。命に関わることだから。
いずれにせよ、誰でも時と場合によって歩行者・自転車・車と立場が入れ替わるわけで、自転車vs車、自転車vs歩行者みたいな二元論ではなく、「道をシェアする」前提で議論が進めば良いと思う。
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なんてことをブログでつらつら書いても意味がないことはわかっていて、人からも叱られますが早くirukaを発売してビジネスサイドから実効性のある働きかけをしていきたいと思います。
さしあたって11月初旬にまた中国に行き、試作第三弾を進めてきます。
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写真は安曇野、篠ノ井線廃線跡の漆久保トンネル。

スティーブ・ジョブズが亡くなった。
10月6日朝、僕は古い友人の一人と、都内のとあるホテルで朝食を一緒にとっていた。
友人と別れてから何の気なしにiPhoneをチェックし、その事実を知った。
次の行き先への移動中、尊敬する人物の死を悼んで、何か音楽を聴こうと思った。
背面に「Stay hungry. Stay foolish. 」の文字が刻まれたiPodを取り出し、少し考えてからベートーヴェンの第九をかけた。
暗から明、苦難から歓喜へと至る曲展開と、終楽章の圧倒的なまでの輝かしさが、ジョブズの後半生そのもののように思えたからだ。
そして今、僕はMacBook Airでこのテキストを書いている。
オバマ大統領のコメントを引用する。
「世界中で多くの人々が彼の死を知ったのは、まさに彼が世に送り出した機器を通じてであるという事実こそ、スティーブの業績に対する最高の賛辞だろう」
僕の「死ぬまでに実現したいことリスト50」の中に、「ジョブズにirukaに乗ってもらう」という項目があったのだが、僕がノロマだったために間に合わなかった。
今日、世界中のあらゆる国の、あらゆる産業分野に関わる数えきれないほどの人々が「自分が、この分野のジョブズになる」と心に誓っていることだろう。
僕もその一人だ。
irukaを、ジョブズがもし自転車を作っていたらかくあるだろう、と言えるくらいの製品として世に出すことを、今日改めて誓いました。
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冒頭の写真はブラジルのレンソイス。
僕がこれまで訪れた中でもっとも美しいと思った場所の写真を、世界でもっとも美しい工業製品を作り続けた人物に捧げます。