2009年10月30日金曜日

iruka、走る



月曜から水曜まで三日間、大阪にいた。

最初の二日はデザイナーの梁さんとiruka試作ゼロ号機をいじりながら設計ミーティング。
ゼロ号機たんは僕の手元にあったときはまだ走るというより「またがれる」レベルだったが、梁さんが手を入れて(彼は自転車整備士の資格も持っている)ガシガシ走れるようになっていた。

写真を撮り忘れてしまったけど、ビルの廊下(かなり横に広く、人通りがほとんどない)を走りまくった。
うん、かなり走ります。
今の状態でこれだけ走るということは、ジオメトリは完璧と言っていいかも。
あとは車体を軽くしてギア比を大きくすれば、街乗り自転車としてはトップクラスの走行性能になるはず。期待大。

三日目は堺の自転車専門商社を訪問。
上海の製造パートナー候補を紹介してくれた先。
今後の進め方を協議する。
オフィスには倉庫が併設されていて、主に中国からやってきた自転車が山と積まれている。
こんな感じ↓ 段ボール一つ一つが全部自転車です。




irukaもたぶんこんな感じで出荷を待つことになるんだろうな。

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写真はコッツウォルズの牧草地。年末の旅先をどこにするか悩み中。早くしないと埋まってしまうな。

2009年10月15日木曜日

さらばiruka


釣りタイトルですみませんw。
えーと、先週からオフィスにあったiruka試作ゼロ号機を、大阪のパートナーに送るってだけの話です。

本来irukaはスーツケースより小さくキレイな直方体に折りたためるんだけど、今回の試作車はハンドルとペダルは折りたたみじゃないパーツを使ったりしたので、突起が多くて梱包にひと苦労。

ハンズでプチプチの梱包材とプラテープを買って来て段ボールと共に巻き付けたが、どう見ても梱包がぬるい。見るからにやっつけ。

ともあれ佐川急便に来てもらうと、案の定兄ちゃん曰く

「梱包が甘いのでお引き取りできません」

だよね。。オレも甘いと思ってたんだよ。。わかっていながら改善しなかったオレが悪かった。。

もう一度初心に帰ってやり直そうかと思ったが、そうだこういう時こそ金で解決だ、世の中カネだ金、諭吉で横面ひっぱたいたらんと思い直し、ヤマト運輸の「らくらく家財宅急便」という梱包からやってくれるサービスを頼む。

で、先ほど無事に、irukaゼロ号機たんは大阪に旅立って行きました。

代金4,100円也。金で解決って言うほどでもなかった。

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写真はコッツウォルズの夕焼け。


2009年10月14日水曜日

Kindleのビジョンがイケてる


AmazonのKindleが気になってしょうがない。
iPodの登場でCDやらMDやらを持ち歩く必要がなくなったように、Kindleがあれば(そして、配信される書籍が十分に多ければ)旅行に本を何冊も持って行かなくて済むし、本棚もいらなくなる。
10月下旬に日本でもハードだけ発売されるが、日本の書籍は配信予定なし。
和書対応したら即買いする。

で、Amazonが掲げているKindleのビジョンがちょっといい。曰く

「私たちのビジョンは、これまで出版された全ての本を全ての言語で、60秒以内にKindleで読めるようにすることです」

何かこう、応援したくならないすか?

また、「誰のために・何を実現して・どんな価値を提供するか」を明言して戦略を明確に示している点で、「実際に機能するビジョン」であると思う。
まず、音楽や映像データには脇目もふらず書籍データにフォーカスせよ、ただし「全ての本/言語」を集めよ、ということがわかる。
ハードウェアは全言語対応と高速通信を最優先で追求せよ、iPod/iPhoneのような音楽や映像などの再生機能やウェブブラウズ・音声通話などコミュニケーション機能を備える必要はない、と示している。

Amazon、元々ヘヴィユーザーだけど、ますますファンになりました。

でも世の中的には、企業のビジョンというと「私たちは○○になる」というフォーマットで書かれてることが多くて(○○の中は『日本一・世界一のナントカ企業』とか『情熱ホニャララ企業』とか)、まあその手の奴は否定する気も特に起きないかわりに、共感も応援する気も起こらない。そのビジョンが実現されたら社会にどんな良いことがあるか、わからないじゃないすか。

イルカのビジョンも、もっとシンプルかつ具体的にできる気がしてきた。
もっかい考えてみよう。
ちなみに現状は下記のとおり:

【ミッション】自転車で人と地球をよりハッピーにする
【ビジョン】ベンツより自転車に乗る方がイケてると言われる社会は、今とはきっと少し違う
【実現の手段】折りたたみ自転車irukaの製造販売により、「常に自転車と共に行動するライフスタイル」を広める

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写真はコッツウォルズ地方の古城、ブロードウェイタワー。丘の上にポツンと立ってる。


2009年10月7日水曜日

iruka試作ゼロ号機 進捗Final


2カ月ほど前から取り組んでいた日本におけるirukaスケルトンモデル製作。
一昨日工場に引き取りに行き、ひとまず終了。

ジオメトリ(自転車の基本寸法)と折りたたみ機構確認のために作った、ごくラフな(本当にラフな)モデルなんだけど、一発目の試作としては上々と言って良いと思う。

想定どおり仕上がっている点
・折りたたみサイズ(長さ、厚み、高さ→高さはさらに小さく)
・駐輪ポジションで自立する
・折りたたみポジションで自立する
・折りたたみポジションで縦置きに自立する
・折りたたみポジションで転がして運べる

想定と異なり、修正が必要な点
・ベルトドライブ→チェーンに変更する必要があるかも
・乗車姿勢→アップライト過ぎたので前傾寄りに直す
・メインフレーム幅→余裕があるので細くできる

このバージョンでは全く再現しておらず、引き続き作業する点
・フロント折りたたみ機構
・ハンドル折りたたみ機構
・ロック機構
・メインフレーム製法
・素材(試作は鉄で作ったが量産はアルミを予定→重量は全然違う)
・走行性能、乗り味

読み返してもなんか自分用のメモでしかないなw。

でも、本当に、作って良かった。
机上であーだこーだ議論したり悩んでたことが、実物があると一発でわかる。

今後は試作機を元に設計を再度見直しながらフロントとハンドルの折りたたみ機構設計をまとめ、11月を目処に上海の製造パートナー(候補)を訪ねて試作1号機の打ち合わせに入るつもり。
まあ、まだまだ時間かかります。

iruka、今日のチラ見せ。
折りたたんで足の間に縦置きしてるの図(iruka本体はぼかしてます)。
ちなみに車輪径18インチ+8段変速。
新幹線とかでも足の間に置いて座れますよ。ちょーっと窮屈だけど。



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冒頭の写真はイギリスのコッツウォルズ地方チッピングカムデン。メインストリートを一本入ると、草原と丘が一面に広がっている。


2009年10月2日金曜日

it's a 職人ワールド


irukaを始めて、四十路手前にして初めてモノ作りの世界に入った、というか入りつつる。
当たり前だが、デジタルの世界とは相当に勝手が違う。

例えば、寸法の問題。
デジタルならピクセルで大きさを指定すれば狂いようがないが、モノ作りには必ず製造誤差の問題がついて回る。

自転車はパイプとパイプを溶接して作るのが一般的だが、溶接とはすなわち金属材の接触面を熱で溶かして一体化することなので、治具で固定しても加熱・冷却のプロセスにおいて必ず歪みが発生する。
また、板材をプレスして部品を作るような工程では、プレスを終えて金型を外したときに材そのものの弾性による変形(スプリングバック)があるし、材の外縁の不要な部分(チリ)を切ったときにも変形したりする。
BD-1の新フレームなんてのは左右対称のプレス板材を中央で溶接して作ってあるが、材が大きい上に溶接面が長いため誤差も出やすく、量産開始時は相当苦労したと聞く。

で、製造の現場ではどのように誤差を修正しているかというと、誤差を見越して型を作るなどノウハウがあるわけだが、最終的には木槌でトントン叩いて歪みを直したりしてる。

えー、そんな乱暴な、と思うでしょ。

でもですね。
日本で、とある溶接の職人さんと話したときのこと。

僕 「自転車作りたいんですよ」
職人「オレは自転車やったことないけど、誤差はどれくらいまでOKなの? 」
僕 「えーと。。(どう答えればいいのかもわからない)」
職人「いやほら、10分の1mm単位なら軽いけどさ、100分の1mm単位まで要求されるとちょっときついのよ」

木槌でトントントン、で10分の1mm単位まで余裕だそうです。。。
月並みな言い方だけど、奥が深いです。

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iruka試作ゼロ号機、来週工場からいったん引き取ってテストします。経過はまたブログにて。写真はチラ見せしかできませんがw。

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写真はチッピングカムデンの教会にて。墓地がキレイで、墓激写しちった。


2009年10月1日木曜日

海外諸都市自転車覚え


前回はパリのベリブについて書きましたが、仕事柄というわけでは全くないけど、結構いろんな都市でレンタル自転車に乗ってきました。

コミュニティサイクル:パリ、オスロ、セビリア

普通の貸し自転車:ニューヨーク、ハイデルベルク、アムステルダム、アンコールワット周辺、ローマ、フィレンツェ、バルセロナ

文句なしに最高なのはアムステルダム。
市街の道はほぼ100%自転車専用レーンがあるので(オランダ全土では自転車道路の方が自動車道路より長い)安全にビュンビュン走れる。小規模な自転車スタンドが至る所にあるから駐輪の場所にも困らない。さらに、埋め立ててできた街だから真っ平らだし。
行かれた方はぜひ自転車移動を試していただきたい。東京もそれほど悪くないけど、それでもホント何というか、ケタ違いに快適です。まさに自転車先進都市という感じ。

オスロも良かった。海沿いなのに坂が多くて自転車レーンもほとんどないけど、とにかく車が少なくて走りやすかった。
帰ってから知ったけど、オスロは市内への自動車乗り入れを有料化すること(ロードプライシング)で車の数を劇的に減らしたとのこと。
日本も東京一極集中ぶりを考えると、高速道路無料化した上で東京への自動車乗り入れを有料化するのがいいかもしれない。
パリもベリブ始めるのと同時に何らか自動車の乗り入れ制限をすべきだったな。

ニューヨークは真っ平らで走りやすいんだけど、残念なのは自転車を借りてもカギがついてないこと。借りてる間はずっと乗ってろと。駐輪するなと。盗まれるから。仕方ないのでマンハッタン外環の自転車&ジョガー専用道路みたいなとこを中心に走って、これはこれで楽しかったけど、ポタリングできないのは魅力半減。

最悪はローマかな。ニューヨークと同じくカギなし、パリと同じく車がハンパなく多く(その上運転が荒い)一方通行の道だらけ、さらに坂が多く、さらにさらに石畳が多いのでガタガタ走りにくい。と、いいとこ皆無ですね。。。自転車乗りの観点ではね。

と書いてみて改めて思ったけど、そう、東京はそれほど悪くない。
自転車レーンはないけど幹線道路を避ければそーんなに車も多くないし、運転も総じて荒くないし、駐輪場は少ないけど治安はいいから道ばたに置いておけるし、坂の多さはいかんともしがたいが。
自転車インフラも含めて、あとちょっと、あとちょっとで東京はもうワンランクいい街になると思うのですよ。

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写真はチッピングカムデンの街並。コッツウォルズ地方の建物はあまねくライムストーン(石灰岩)でできている。統一の美しさ。楳図かずお氏みたいな人はいません。どの街も小さく、メインストリートを一本裏に入ると牧草地や畑の丘陵が広がっている。