2008年7月29日火曜日

成功本 vs 失敗本


<書評>なんてタイトルのエントリを書くと、前職の後輩などから「おススメ本を教えてください」と言われる。
それでふと思った、というか前から思ってたのが、いわゆる「成功本」って、テンションは上がるけど、成功するためのノウハウ習得にはあまり役に立たないよな、ということ。

ここでいう成功本とは

 上場ベンチャー企業社長など社会的に「成功者」と呼ばれる人々が
 「オレが成功した秘訣」を
 半生記や自社の紹介を交えて書き上げた本

のことである。

誤解なきよう言っておくが、成功本の「テンションが上がる」という効能は、それだけで非常に貴重にして重要である。
何事もやる気ときっかけが最も大切、というか全てと言ってもいい。

その上で、冒頭の趣旨に戻る。
まあ僕も本好きな人生を送ってきて、そこそこ多くの成功本を読んできたけど、まず第一に、成功の秘訣という奴はもう千差万別なのである。

ある成功者は「執着心が第一」と言い、ある成功者は「あきらめが大事」という。
ある成功者は「綿密に準備してから取りかかれ」と言い、ある成功者は「走りながら考えろ」という。

例を挙げたらキリがないが、要するに成功のノウハウにはパターンがない。
言えることは、成功に至る道は無限にあり、「自分に合ったやり方を選んだ者がゴール(成功)にたどり着ける」ことなんだと思う。
さらに、とかく成功本を書こうなどという人は総じて自己顕示欲が強い人種だから、成功につながった要因かどうかの因果関係を考慮することなく自分の習慣やモットーを書いてしまうからタチが悪い(笑)。
「毎日水風呂に入る。それが成功のカギ」「高い靴を履け。それが成功への階段」みたいな。

逆に、テンションは下がるけど学習効果が高いのは「失敗本」だろう。
ベンチャー失敗本の代表作といえば、この2冊か。

板倉雄一郎氏(元ハイパーネット社長)の「社長失格」
松島庸氏(元クレイフィッシュ社長)の「追われ者」

いずれも読後は暗い気持ちになるが(笑)、教訓は明確で記憶に残る。

・ベンチャーは主に銀行借入で新規事業を立ち上げるのは避けるべし
・身の丈の生活をすべし
・企業力を超えた戦線拡大は避けるべし
・資本政策は一度やったら後戻りできない、慎重を期すべし

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」(現楽天監督・野村克也氏の言)である。

なんだけど、世の中成功本の方が圧倒的に多いですね。成功本:失敗本=99:1くらいか。
まあ読み手はテンション下げるより上げたいよね。
それに書き手も自分の失敗よりは成功を書きたいわな。

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写真はガンジス河岸の壁に大書されていたガネーシャの絵。
このガネーシャ、父であるシヴァ神が子と知らずに首を切り落として投げ捨て、後で子と知り首を探しに行ったが見つからず、やむなく象の首を切って頭部として取り付け復活させた、というのが由来らしいです。むちゃくちゃですな。


2008年7月25日金曜日

<書評>ブランドは広告でつくれない


今回は書評です。
尊敬するアル・ライズ師匠の著書。
オプト在職中に読んでいなかったアル・ライズ本があるのは不覚というかお恥ずかしい話だが、この本もやばかった。

「ブランドは広告でつくれない 〜広告 vs PR〜」(翔泳社)



広告業界にいた身にはアグレッシブなタイトルだが、内容には大納得。
まとめると以下か。

・ブランド確立とは消費者のクレディビリティ(信頼性)を得ることである
・今日の消費者は広告を信用していない上、広告の数が増えすぎて注意も払っていない
・したがって、もはや広告には「クレディビリティを得る=ブランドを確立する」という機能はない
・クレディビリティを得るのはPR(パブリシティ)である
・PRでブランドを確立し、その後、広告でブランドイメージを「守る」べきである

「広告はそれ自体のクリエイティビティを競うアートの一種に変質してしまい、巷には賞をとったり話題にはなったが商品の売上には貢献しなかった広告が溢れている」というくだりには思わず膝をたたいた。
例えば、最近どこかのブログで紹介されてて見たこのCM、競輪を人生に例えたストーリーでめちゃめちゃ感動したんだけど、競輪の売上が伸びるとは思えない。少なくとも僕は競輪場に行こうとはまったく思わなかった。逆に人生を競輪に例えている感じ。
「別にこのCMで売上が伸びなくても、感動を与えたからいい」というのであれば、それこそまさに「アート」だ。



ネット広告業界の人たちには、広告でクレディビリティを得る新たな手法を開発してほしいと強く思うが、まあそれは本職の人たちに任せるとして、irukaたんのPR戦略を全力で考えます。

古巣オプターのみなさん、特に広報IR部員、コミュ開部員、新規事業やろうとしてる人、読んどいた方がいいです。OBより。

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写真はベナレス駅ホーム。
灯りが少なく、漆黒といってよい暗さ。
写真には写っていないがホームに牛がいた。インド人、割と牛を邪険に扱うんだよね。牛が近づくと「しっしっ」て感じで、意外だった。



2008年7月24日木曜日

熱帯夜とハイヤー


暑い。暑いよ。
昼間暑いのはまだ納得感があるというか、夏って感じでポジティブにも考えられる。
熱帯夜だけなんとかならんか。

東京における熱帯夜の日数は年30日以上と1970年代に比べて倍以上に増えている
まずいでしょ。

夜自転車で走っていて非常に気になるのが、停車中のタクシーとハイヤー。

例えば外堀通り神楽坂下交差点の手前など、毎晩常に数十台のタクシーが客待ちのふりをしてアイドリング&冷房ガンがけで休憩している。
中には車を降りて話し込んでいる運転手もいる。
横を通ると排熱の暑さで気が遠くなる。その上、通行の邪魔で危険。
取り締まれよ、警察。

あとは赤坂の料亭街。
毎晩多くの黒塗り車が店の前でアイドリング&冷房ガンがけで待機していて、通るとひどく暑い。
料亭で会食って2-3時間はかかるでしょ。運転手さんは車中でぼーっと待ってるわけで、時間の無駄・ガソリンの無駄・環境汚染、といいことは一つもない。

冷房つけるなと言うのは運転手さんに酷な話。
ハイヤーなくせって言うのも極論だとは理解していて、セキュリティ面など政治家や企業経営者にとってハイヤーのメリットは確かにあるだろう(それほどでもないとは思うけど)。

そこで提案です。
シェアドハイヤーというのはどうでしょう。
同じ会社、同じ政党などの中で、複数の利用者で複数のハイヤーを共有するのです。
(もうあるかな?)

通常ハイヤーというのは客と車&運転手が1:1の関係。
それを、客:車&運転手=n:n、客>車となるようにし、極力待機時間がないように回し使うのだ。
そもそもハイヤーの稼働率は非常に低いし、「専務になると専用車を持てる」なんてのはただの見栄でしょ、と。

もっとも僕は「専用車で運転手と気脈が通じること」のメリットは理解できていない。
例えば、

運転手「社長、今日はお忙しかったでございますね」
社長 「ああ、疲れたな。。山口君(運転手の名前ね)、今日は、」
運転手「わかってございます、麻布でよろしいですね」
(と、複数いる愛人の中から癒し系の愛人宅に車を走らせる)

なんていう阿吽の呼吸の付加価値がどれほどなのかはわからない。

・・・なくね?

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写真は夜のベナレス駅。
タジマハールのあるアグラまで夜行列車で移動した。
薄闇の駅構内は床に寝転がったり座り込んで列車を待つインド人でごったがえし、足の踏み場もない状態。
夢の中にいるような感覚だった。


2008年7月22日火曜日

夏休みと仕事の境目が曖昧なことについて


海の日がらみの3連休は、波乗り(ボディボード)のため海におりました。
夏の御宿海岸は海水浴エリア規制があるので日中の波乗りは激混み。
僕のようなヘタクソはなかなか波がとれない。
よって日の出と日の入りの時間帯(朝4:30~と夕方19:00前後)を狙って入る。
すいてる上にちょうど波も良くて、大満足。
特に日の入り前後は海と空が同じ色に溶け合っていくような、素敵な光景を見ることができる。ちょっと宗教的ですらある。

今日は朝6:30からテニスやって出社。
明日はテニスの試合に出場、35才以上シングルスという年齢別大会に初トライ。昔は14才以下とかに出てたのになー。

ってちょっとリラックスしすぎか、と少し気になるときもあるが、ルーティン業務なし+社員ゼロ=時間を100%自由にできる貴重な時期なので、まいっかと。夏だし。

まーそれに、
今進めてるirukaの設計は、結婚式後の飲み会でソムリエナイフを見ていて折りたたみ機構を思いつき、旅行でインドに向かう飛行機で全体構造を思いついてsick bagにスケッチを書いて生まれてきたもの。
ブレイクスルーのアイデアはむしろ遊んでいるときにこそ生まれる・・・と自己正当化して、今週も海行っちゃおっと。

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写真はインド、街中に建っている神様の像。
街角で「地球の歩き方」のヒンズー教の神様を紹介するページを開いていると、インド人がわらわらと集まってきて「やっぱシヴァ最高だよね」「いやいやカーリーでしょ」みたいな感じで「オレの好きな神様」談義が始まる。
ちょっと理解しがたい感覚だが、あえて言うと30代後半日本人男子の「オレの好きなモビルスーツ」談義と同じか。
違うか。


2008年7月17日木曜日

自転車通勤、そして都市の美観


「以前は気づかなかったけど、自転車通勤を始めて気づいたこと」その2。

いや、前からわかっていたことだが、再確認したという方が正しいか。
自転車移動は、平均時速15km。街の風景を、自動車移動よりじっくりと、徒歩移動より長い距離を連続して見ることになる。

結論、東京は美しくない。

「東京ってキレイじゃないよね」と言うと、「海外の街より全然キレイでしょ」と返されることが多い。
言い方が良くなかった。
確かにCleanではある。ゴミも散乱してないし、廃墟みたいなエリアもない。
だが、Beautifulではないのだ。

安普請で調和のないビルやマンション、毒々しいネオン、通りに張り出す派手なだけで汚い看板、などなど。

昔から石造都市が基本であったヨーロッパ諸都市と比べ、由来が木造都市かつ空襲を経験した東京(江戸)に、歴史的な古い街並みが少ないのはしょうがない。
戦後の高度成長期は美しさなんかよりまず成長という時代だったろうし、そのおかげで今の日本があるのも理解している。

ただ、なんというか、街づくりのポリシーとか思いが皆無のまま、誰も「こんな街にしたい」とは願っていない街が生まれてしまったのだと思う。

「美しさ」は主観なので、街の美しさにも世界統一基準はない。
ヨーロッパの都市のように統一感がありさえすれば良いというものでもないだろう。
が、結局のところ都市は人のための存在なので、人々の思いが形になっている街は、時に迫力を伴って、美しいと思う。

日本の世界的な地位低下が言われて久しいが、もう成長はいいじゃん。成熟でいいじゃん。100年かけて美しい街をつくって、豊かに暮らせる国をめざさね?と思うのだが、どうか。

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写真はインドのヒンズー教の聖地ベナレス、ガンジス河岸。ガートと呼ばれる沐浴場と極彩色の建物が並ぶ。
Cleanではない。というか、Cleanの真逆。牛の糞とゴミだらけだし。
でも、Beautifulなんだよなー。


2008年7月15日火曜日

自転車通勤、そしてヒートアイランド


転車通勤を始めて丸4年。
赤坂、大手町、表参道とオフィスは変わってきたが、どこも江戸川橋の自宅から30分弱。例外なく電車通勤より速い。
みなさん自転車通勤いいですよ。
何より通勤時間が楽しく心躍る時間に変わるし、実利的な効能も多い。

効能、というか「以前は気づかなかったけど、自転車通勤を始めて気づいたこと」も多くある。
ヒートアイランド現象がマジでやばいこと」もその一つ。

246など幹線道路を走っていると、自動車のエンジンと冷房による排熱が右から(たいてい自転車は車道左端を走るので)容赦なく押し寄せてくる。
たまりかねて裏道に入ると、オフィスビルや住宅の室外空調機の排熱に襲われる。
科学的な究明も不十分なようなので、何が悪い誰が悪いというコメントは差し控えるが、東京という街が「暑い→冷房強くする→排熱でさらに暑くなる」というネガティブなサイクルに陥っていることが明らかにわかる。

とーりあえずさー

 ・都心部の自動車台数を何らかの方法で減らす
 ・夏のスーツ着用を禁止する

だけ法制化できんかな。

& みなさんもっと自転車に乗りましょう。

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写真はガンジス河を行く小舟。ドレスがキレイ。
みんなでどこ行くんだろ?


2008年7月14日月曜日

駐輪場と折りたたみ自転車


イルカオフィスを出て少し歩くと右手にGIROPPONヒルズが見えてくる。
近いのでたまにケヤキ坂のスタバに行ったりしてます。

六本木ヒルズってあれだけ広いのに、(知る限りでは)駐輪場が一つしかなく、しかも小さい。
まったくエコじゃないよな。
先輩後輩のみなさん、なんとかしてください。
森ビルOBより。

昨今、自転車専用レーン設置の議論が盛んだが(これはこれですばらしいことだけど)、自転車利用を増やすには駐輪場問題もセットで考えるべきと思う。
特にオフィスビルは、六本木ヒルズに限らず、駐輪場が整備されたビルが驚くほど少ない。
大規模オフィスビルに一定の駐輪場設置を義務づける法律を作るとか、CO2削減のためにも国策として自転車通勤促進に取り組むべきだ、と思っていて、自分でも具体的な行動を起こすつもり。

その点、折りたたみ自転車はたたんでオフィスに持ち込めば駐輪場も不要。
僕もオプト時代はそうしてました。
まあ増えすぎちゃうとオフィス内でもスペース不足になるが、学校の下足箱みたいに縦に複数段ある「自転車置き箱」を作れば折りたたみ自転車なら相当台数を置けるはず。

あと問題になるのが、ビルの入り口で折りたたんでからオフィスに着くまで、自転車を持って運ぶ距離が意外に長いこと。
これは駅で電車に持ち込むときなども同じ。
10kgの物体を手で持って歩くのは男性でもかなりきつい。

ということで、irukaには折りたたみ時に転がして移動できる機能をつけます。

(参考)
ドイツ・オランダの自転車レーンおよび駐輪場事情

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写真はガンジス河に流すお供え物。
僕も一つ買って舟から流してみた。
朝焼けの薄明るい川面をロウソクの灯が流れていく様はなかなか絵になる。


2008年7月9日水曜日

余生を送っている(笑)と見られることについて


「採算度外視で夢の自転車を作るわけですか」
「悠々自適でいくわけですね」

知人友人に「自転車ブランドを立ち上げる」と説明すると、割とこのような反応が多い。

余生と見られている(笑)。

確かに僕は今、(ちょっと感じ悪いけど)食べるために働く必要はない。
しかし、株式会社イルカは利益には徹底的にこだわっていく。
その利益を、給与や配当など僕個人の財産に「換金」できなくてもまったく構わない。

会社の利益は、ゲームのスコアだ。
利益度外視で会社を経営するのは、テニスで試合をせず漫然と打ち合っているだけのようなものだ。
それはそれで楽しいが、試合をした方が面白い。

今年のウインブルドン男子シングルス決勝は、すばらしい試合だった。
優勝したナダルが手にした賞金は、1億6000万円。大きな金額である。
だが、もし試合の途中で「悪いんだけどさー、今年賞金出せなくなっちゃったよ」と言われても、ナダルもフェデラーも変わらずプレーを続けるだろう。

このビジネスというゲーム、スポーツと違うのは、誰かを倒さなくても、誰か(顧客)に喜んでもらえば点が入ること。
利益追求、すばらしいことではないか。

というわけで何が言いたいかと言うと、
オレは余生じゃねー、と(笑)。

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写真はガンジス河で迎えた日の出。
インド、今まで行った国で一番わけわかんなかった。
そこが魅力なんだけど。


2008年7月7日月曜日

めでたい夜


金曜夜のこと。
オプト某男性社員から「話があるので飲みたい」との申し出を受ける。
待ち合わせ場所に行くと、その隣にはオプト某女性社員が。

ははあ。そうですか。
いやーめでたいなー。めでたい。

自分たちが作った会社で(もうやめちゃったけど 笑)、こんな風に新しい人生が生まれるというのは、なんともいえない不思議な気分。
うれしいです。

最近、30才前後のオプター中堅層の結婚が多い。僕も6月だけで2回結婚式に出席させていただいた。

こうなると、あと心配なのは、毎週末を読書・DVD鑑賞・サッカー日本代表応援に費やしている
この男
いい奴なんだけど、付き合ったらうざいかもなー。

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写真はサハラ砂漠で迎えた夕暮れ。完璧な静寂。言葉が出ない。
と思ったらこの後、現地人ガイドが「さて、帰る前にちょっとさ」という感じで化石の展示即売会をスタート。
興をそぐやっちゃなーと思いながら、チップがわりにとアンモナイトぽい化石を一つだけ買ったが、甥っ子にお土産として異常にウケた。良かった。


2008年7月4日金曜日

思いつきメモ


irukaとは関係ないけど、前回SNSに関するエントリーを書いてて思いついたのでついでに。

エキサイトフレンズ(1999年スタート)
ライブドアブログ(2003年スタート)
mixi(2004年スタート)

エキサイトとライブドアは、総合ポータルの立場を捨ててSNSにフォーカスしていれば、mixiになっていたかもしれないですね。
「今思えば」なので意味のない仮定だが。
私見です。

戦略転換、フォーカスとはかくも難しい。
irukaたん、がんばります。

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写真はサハラ砂漠。マラケシュから2日がかりのドライブで到着。
現地人ガイドが引くラクダに乗って砂漠を行く。
思わず「つーきのー、さばーくはー」と鼻歌が出る。
その後の歌詞が思い出せず「らーくだーだーらけー」と適当に歌ったら、ビデオに残っていた。



2008年7月2日水曜日

「総合化」の誘惑


以前に比べて帰宅時間が早くなり、家でぼーっとテレビを見る時間もあったりする。

5月だったか、ちょっと信じがたいCMを目にした。
雑然とした部屋、万年床とおぼしき布団に寝そべって、岸部四郎が携帯ゲームで遊んでいる。
画面には「金はない。時間はある。」の文字、最後に「無料ゲームはgree.jp」。

まじすか。GREEですよ。

僕の勝手な思い込みなのだろうが(しかもその思い込みはどうもかなり古いようだが)、ロゴやサイトのデザイン、経営陣の顔ぶれなどから「GREEはmixiやモバゲーより小規模ながら、洗練された先進的なユーザー(および、そう思われたいユーザー)のためのSNS」と思っていた。
MySpaceに対抗するFacebookといったポジションか。

そのGREE、無料ゲームに行きますか。岸部四郎に行きますか。
mixiとモバゲーが圧倒的なユーザー数で君臨する今、とるべき戦略はフォーカスではないか。
「mixiとモバゲーの機能をそろえ、テレビCMで無料ゲームをフックにユーザー数を一気に増やす」のは、フォーカスとは真逆だ。
特徴なき二番手(いや、三番手か)になって、何をしようというのか。
さらには、これまでのブランドイメージも一撃でぶち壊してしまった。
だって「金はない。時間はある。」だよ。

無料ゲーム、日記、アバター・・・mixiとモバゲーにある機能は全てGREEにもある。すばらしい。
InfoseekやExciteのトップページにも、Yahoo!のトップページにあるものは全てあった。
Googleのトップページには、検索フォームしかなかった。

・・・わかってても当時者になると見えなくなるものですよね。
irukaたんも気をつけます。

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写真はモロッコ、サハラ砂漠に向かう道。
赤茶けた荒野の一本道を常時100kmオーバーで突っ走る。
このとき、気づいていなかったが、パスポートをホテルに置き忘れていた。つまり毎時100km以上のスピードでパスポートから遠ざかっている最中だった。
パスポートとは2日後に再会。思わず抱きしめた。


2008年7月1日火曜日

フォーカスの威力


昨日は某有名自転車店の代表の方にお会いし、irukaの事業について意見を伺った。
多くのヒントがあり、楽しくも生産的な会見だったが、加えて「フォーカスの威力」を目の当たりにした。

そのお店、折りたたみ自転車を中心にいわゆるミニベロのみ5ブランドしか取り扱っていない。
しかし、その5ブランドについては、ちょっと信じられない台数を販売されている。
特に折りたたみ車に関しては、世界3大ブランドのうちの2ブランドでなんと国内販売シェア3割前後という圧倒的なナンバーワンディーラーなのだ(残り1ブランドは彼の目にかなわず、取り扱っていない)。

すごい。

アル・ライズの著作「フォーカス」にも「全米ナンバーワンの自動車ディーラーは、サターン『だけ』を販売するディーラーであり、その生産性は突出している」という事例が出ている(古い事例かもしれないけど)が、同じケースだ。
スタッフは習熟し、顧客が目移りして迷うことなく、さらに評判が評判を呼ぶ。

このお店、創業は古く、以前はMTB中心の店だったのを、現在の店主である彼がミニベロ専門店に切り替えて今に至っているとのこと。
現在のミニベロブームなど皆無の頃のことだ。その決断力とビジョン、天性の戦略家なんだろうなあ。
フォーカスとは、本質的には何かを捨てる行為。理論はわかっていても、いざ実行となると結局「捨てきれない」会社・人が多いものだ。

irukaもフォーカスを戦略の核に(自転車『非』愛好家に的を絞る+1車種1カラーのみで勝負)と考えていたが、目近に成功事例を見、またその当人にも賛同をいただいて、テンション上がりました。

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写真はベルゲンからヘルシンキに向かう機上で迎えた夕暮れ。
この後泊まった空港近くのホテルで、金髪デブのフロント係が気取った声で「However〜」を連発して話すのが耳ざわりだった。
GLAYか。