2009年5月29日金曜日

iruka現状アップデート


「IRUKA」の商標登録を申請していて、ちょっと前にEUでは先に通っていたんだけど、このたび日本でも無事通りました。
あとはアメリカで審査継続中。

記念に、というわけでもないですが、ロゴを公開します。
どーーですか! かわいくない? ちょー気に入ってるんだけど。



一方で、製品に関しては未だ試作に至っておらず、当初計画からは半年ほどのビハインド。
遅れの要因は色々あるけど、ぶっちゃけ、僕がモノ作りをなめていましたね。
進め方が、なんというか、具体的でなかったし、製造分野に関する知識がなさ過ぎた。
相手方の分野の知識を学んでいないということは、つまるところリスペクトが足りないということ。
反省。

ということで先月今月と金属加工の分野(板金、パイプ加工、溶接など)の人たちに会いまくって話を聞いたんだけど、非常に有益で面白かった。
モノ作り、奥深し。
改めて書いてみたいと思います。

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写真はブータン最高の聖地、タクツァン僧院。


2009年5月20日水曜日

ブータン見聞 その5


ブータンについて書くのもそろそろ最後にします。

ブータンはGNH(国民総幸福量)を最大化するため、下記4点を国是としている。
1. 持続可能で公平な社会経済開発
2. 自然環境の保護
3. 有形・無形文化財の保護
4. 良い統治(ガバナンス)

その実現のため、以下のような政策がある。
・教育費と医療費は無料
・観光客の入国制限、行動制限
・完全禁煙国
・国土の60%以上は山林のまま維持(現在は70%以上)
・公式な場所での民族衣装着用義務
・国王は65才定年制、国会に罷免権あり

賛否はあるでしょう。
ただ、すばらしいと思うのは「こんな国にしたい」「良い国とは、こういう国だ」という明確なビジョンに沿って国が運営されていること。
戦略的。

シンガポールや北欧諸国なんかも、それぞれビジョンは全く異なるけど、戦略的という点では共通してますね。

我らが日本は、、、

本日のニュース
麻生太郎首相は19日の経済財政諮問会議で、厚生労働省の分割について「仕事の切り分け、すなわち組織の分割案を出してほしい。今が決断の時期だ」と述べ、与謝野馨財務・金融・経済財政相に対し、具体的な検討に入るよう指示した。

ビジョン・戦略が不明確なまま組織だけいじるのは、打ち手としては下の下。
形は機能に従い、機能は目的に従うべき。厚労省という「形」だけ変えても意味はない。というかマイナス。
まずは、年金・雇用・教育・医療に関して「こうすべき、こうしたい」というビジョンを明確にしてほしい。明確になってないから賛成も反対もできない(=選挙に行かない)。

まーーでも、人間ってまずは組織いじりたがりますよね。
僕も経験(& 組織だけいじって失敗したこと)あります。

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写真はブータンで頻繁に見かけるダルシンと呼ばれる旗。
表面にはお経が書いてあり、風で一回はためくとお経を一回読んだとカウントされる。ショートカット。


2009年5月13日水曜日

ブータン見聞 その4


ブータン政府は外国人個人の自由旅行を認めていないため、旅行会社を通じてツアーを組まないと入国できない。
また、入国後も寺院やゾンなど公式な場所に入るにはブータン人ガイドの同行が必須。
GNH最大化の重点ポイント「持続可能で公平な社会経済開発」「自然環境の保護」「有形・無形文化財の保護」のため、観光を制限しているのだ。

我々についてくれたガイドは30才の元外交儀典官、Nima。
1週間つきっきりでアテンドしてくれたが、彼がバリバリの仏教徒かつ訪問する先も仏教施設が多いため、いきおいそっち系英単語の知識が増える。

 reincarnation 輪廻
 disciples 弟子、使徒
 cremation 火葬
 monastery 修道院

などなど、はたしてまた使うときが来るでしょうか(笑)。

彼とは色々話したが、意外だったのが、全員敬虔な仏教徒であるブータン人もクリスマスを祝ってパーティーを楽しむとのこと。

へーー。
仏教は寛大な宗教だから他の宗教を排除したりもしないし、イベントごととして楽しむ分には問題ないんだって。
その辺が完全な一神教であるキリスト教やイスラム教との最大の違いなのかも。

これまで、日本人は初詣は神社、結婚は教会、葬式はお寺と宗教的なポリシーがない、なんて言われると少し肩身が狭く思っていたが、別にいいんだと気が楽になった。
考えてみたら、日本には古来、八百万(やおよろず)の神様がいたわけで、6世紀に仏教が伝来したときも「800万が800万1になるだけっしょ。ぜんぜんオッケー」みたいなノリだったのかも。

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写真はタンゴ僧院の少年僧たち。
明日の祭りに備えて餅細工を作ってました。


2009年5月11日月曜日

ブータン見聞 その3


ブータンでは国王がものすごく愛され尊敬されている。
皆「うちの王様は最高だ」的なことを言うし、家の中や街中いたるところに国王の写真が飾られている。
スターなのだ。

現国王は2006年に即位した5代目ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク王。
29才のイケメン。
ブータンでの人気もものすごいが、タイでは写真集も発売されたとか。

第二の建国の父ともいえるのが先代4代目ジグミ・シンゲ・ワンチュク王。
1972年に即位して後、GNHの提唱などブータンかくあるべしというビジョンを打ち出し、在位中に自ら絶対君主制を放棄して立憲君主制に移行したり、国会が国王を罷免できる法律を作ったりと民主主義の土台を作った上で58才で惜しまれながら自ら引退・譲位した。
話を聞くだけで、ちょっと感動してしまうすごい王様。かっこいい。

さて、ブータンでは法律上重婚が可能で、この4代目国王もお妃が4人いる。
そしてなんと、お妃4人が全員姉妹。

ちょっとどうよ、と思っていたが、ガイド曰く

「国王は国のためを思って4姉妹全員と結婚したんだよ」と。

つまり、一人だけと結婚すると他の姉妹3人は別の男性と結婚することになり、配偶者側の親族が全員「国王の親戚」になってしまう。もしその中に国王の威を借る欲深い人がいたら、国にとって悪影響こそあれ良いことはない、ということらしい。

なるほど。
こういうのなんて言うんだろう。

毒を食らわば皿まで

違うな。

毒を以て毒を制す でもないし 番町皿屋敷 でもないし。

なんて言うんだっけ?

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写真はパロの街のゾン。寺と県庁と裁判所が合体した建物です。


2009年5月8日金曜日

ブータン見聞 その2


ブータンは敬虔な仏教国。
先に書いたGNH(国民総幸福量)の「幸せ」の定義も仏教の影響が強い。

 幸せ=財/欲

主に分子である財産の最大化を追求するのが資本主義的な価値観だとすれば、分母である「欲」を小さくすることで幸せを最大化するのがブータン的・仏教的価値観。
理論的には、欲をゼロにすれば幸せは無限大ということね。ブラックホールの特異点みたい。

そのブータン人、アンケート調査においても9割以上が「幸せである」と回答しているが、確かに実際目にしても実に幸せそう。
一人あたりGDPは小さいけど自給自足と物物交換が多いから(GDPの計算には補足されない)庶民の暮らし向きは苦しくはなさそうで(楽でもなさそうだけど)、他のアジア諸国とは違って物乞いもいないしスラム地区もない。
もちろん観光客の視点なので表層しか見えていないだろうけど、なんというか、まあみんなのどかにニコニコ暮らしてるわけですよ。

ただ、その幸せが微妙なバランスの上に成り立っているのも確か。

空港ができたのが1983年、テレビ放送とインターネットが解禁されたのが1999年と、ブータンは最近までほぼ鎖国状態だった。
ブータンの学者も「欲は対象物を知らなければ発生しない」と言っているとおり、ブータン国民は外界の文物をほとんど知らず、従ってそれらを「欲しい」ということがなかったのだ。

しかし、ネットもテレビもようやく本格的に普及しつつあり、これからはブータン国民もブランド服、高級車、ファストフード、豪華マンションなど様々な「欲の対象物」を目にすることになる。
テレビとネットの解禁は国内でも相当な議論があったらしいが、国王が「国民の良識を信じる」と決断して踏み切ったとのこと。
さて、どうなるか。

いち旅行者の身勝手な考えとしては、このまま素朴な国であってほしいけど。
ブータン国民が様々なモノを知ってもなお、欲しいと思わなければ素敵なんだけどなあ。


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写真のように、ブータン女性のほとんどがキラと呼ばれる民族衣装を着て生活しています。


2009年5月7日木曜日

ブータン見聞 その1


連休はブータンに行ってきました。
ヒマラヤ山中の小さな国です。

・人口66万人
・一人あたりGDPは日本の約7分の一(購買力平価ベース)
・国民の9割が農業に従事
・最大の輸出品は電力(水力発電)

これだけだと単なるアジアの貧しい一小国にしか見えないが、ブータンを有名にしているのが国王主導による「GNH(国民総幸福量)を重視した」国家運営。

1. 持続可能で公平な社会経済開発
2. 自然環境の保護
3. 有形・無形文化財の保護
4. 良い統治

この4点を柱として、GDPよりもGNH、すなわち経済成長よりも国民全体の幸せ(もちろん経済成長も要素の一つだけど)を追求する、というもの。
最近の国勢調査では9割以上のブータン人が「幸せである」と回答している。

いやー、面白かったしいろいろ考えさせられた旅でした。
何回か続けて書いてみたいと思います。

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都市部というものがほぼ皆無で国土のほとんどが山間部なので、旅そのものは山歩きが中心。
写真は一泊二日のテント泊トレッキングで訪れたジリ・ゾンというお寺。
標高3500メートル。