2010年4月27日火曜日

折りたたみ自転車おすすめ書籍


自転車ツーキニストで有名な疋田智さんの最新刊。
これまでも自転車に関する数々のすばらしい著作がありますが、今回は折りたたみ自転車にフォーカスした本です。

ものぐさ自転車の悦楽〜折りたたみ自転車で始める新しき日々



これは、ということで早速読みました。

えーと。参りましたね。もう僕ブログに書くことなくなっちゃいました。
なぜ折りたたみ自転車が良いのか、どんな視点で自転車を選べば良いのか、僕なりにブログ(なぜ自転車か その1,その2/なぜ折りたたみ自転車か その1,その2,その3,その4折りたたみ自転車は遅いのか極小径車に関する考察)やiruka仮サイトでも書いて来ましたけど、もうこの本を読んでもらえばオールOKです。超おすすめ。

これから折りたたみ自転車に乗ろうという方には完璧な本ですが、唯一惜しむらくは、irukaが載っていないことw
製品が出てないんで当たり前なんですけど、文庫化あるいは電子書籍化の暁にはirukaもおすすめ折りたたみ自転車として載せてもらえるようがんばります。

関係ないですけど、「不思議の国のアリス」iPad版が元々すごいのにさらに日々アップデートされてるようで、電子書籍の未来を感じます。
買った本の内容が新しくなっていくって、ちょっとすごい。
KindleでもiPadでもいいから、日本の出版社のみなさん早く電子化進めてくれい。
そしてこの本が電子化されたときにirukaが載るようにしてくれい。

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写真は京都・大徳寺にて。まさに輪行で行きました


2010年4月19日月曜日

私を火星に連れていけゴルア


オバマ大統領の「2030年代に人を火星軌道に送る」という発表を聞いて、わくわくしていても立ってもいられなくなりました。
ぼかぁ実は宇宙好きなのです。
今回の発表は「火星の周りを回る軌道に人を送る」であって「火星に人が降り立つ」わけではないのですが、それでもすごいことです。

そこで、自転車とは全く無関係ですが、いかに火星に行くのが大変なことか、半端な知識を垂れ流してみたいと思います。

まず、遠いです。火星。
地球も火星も太陽の周りを公転してるので刻一刻と距離は変わりますが、理論上の最短距離でも地球から5600万km、月までのざっと150倍です。
アポロ計画で月まで片道3日かかってますが、火星までうまいこと燃料を節約できる軌道(ホーマン軌道)を飛んで片道250日・8ヶ月前後かかると言われています。
さらに、帰りにまたその燃料を節約できる軌道にタイミング良く(火星と地球と太陽の位置関係で)乗るため火星の周りをぐるぐる回って500日近く待ってなきゃいけないらしいんです。つまり往復1000日の旅。

まじすか。じゃ節約とか言ってないで燃料バンバン使って近道飛ぼうよ。と思いますよね。
・・・今の技術だと無理みたいなんです。
というのは、ホーマン軌道を飛ぶのであれば地球を飛び立つときと方向変えるときの燃料さえあればよいですが、近道するには太陽の重力とか地球の公転の慣性に逆らって飛ぶための膨大な燃料が必要で、ロケットが重くなりすぎて地球を飛び立てない(地球の重力を振り切るためには秒速11km以上(第二宇宙速度)必要)らしいんです。

じゃせめて、ぐるぐる回ってないで火星に降りようよ。せっかくだから。暇なんだし。と思いますよね。
・・・火星に着陸するのにロケットを減速させるためと、帰りに火星を飛び立つための燃料が必要で以下同文です。

しょうがない。往復1000日、火星は着陸しないでぐるぐる回るだけでいいからすぐ行こうよ。ベンチャーはスピードだよ。と思いますよね。
・・・1000日間2〜4人の乗組員が生活するための物資(食料・飲料など)が膨大で以下同文です。
無重力状態の影響(骨や筋肉がすぐ弱る)、ストレスなど乗組員の健康面の問題もあります。中でも怖いのが宇宙線。宇宙空間は地表のように大気で守られていないため、船の中にいてもX線やガンマ線など浴びまくり状態です。分厚い鉛でも貼って防ごうとすると船が重くなって以下同文。

じゃ期間短くしようよ→振り出しに戻る。絵に描いたような堂々巡りです。

そこで、僕が知ってる限り以下のような対策が検討されているようです。

・月で宇宙船を組み立てて飛ばす→地球より重力小さいので少ない燃料で済み、その分荷物(帰りの燃料、物資など)を増やせる
軌道エレベータ上で宇宙船を組み立てて飛ばす→同上
・先に燃料生成ユニット(空飛ぶコンビナート)を火星に送って、火星の大気で帰りの燃料を作る
・藻類などを使って「宇宙船の中で」生態系を作り、食料・飲料・呼気など全て排泄物からリサイクルする
・藻類などを使って「宇宙服の中で」生態系を作り、食料・飲料・呼気など全て排泄物からリサイクルする
・宇宙船を錘につないで飛んでる間回転させ、人工的に重力をつくる

えーと、何と言うか、大変そうだなあというのはわかりますよね。

大変そうだけど、面白いなあ、夢がある話だなあ、と思った方におすすめSFを紹介します。

火星縦断」J. A. ランディス著(ハヤカワ文庫)
帰りの燃料は向こうで作ってあるんでささどうぞって言われて火星来てみたら燃料漏れちゃってんじゃん地球帰れなくね。という話。著者はNASAの科学者でリアルこの上ないです。

沈黙のフライバイ」野尻抱介著(ハヤカワ文庫)
火星有人探査モノ2篇を含む短編集です。のみならず軌道エレベータ、生態系スーツなど重要トピックが網羅されてます。タイトル篇は恒星間飛行&異星人コンタクトモノ。

気分が乗ったら恒星間飛行に関する浅薄知識垂れ流しエントリも書いてみようかな。

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写真は石の配置が異星人からのメッセージであるという説が有力な(ウソ)龍安寺石庭。


2010年4月15日木曜日

日本の自然、日本の街並



先週末、相方の会社の課旅行にくっついて山梨に桃見物に行ってきました。

すごいとは聞いてはいたけど、山梨の桃はちょっと想像を絶してたね。
盆地全体がピンクに染まってるんだもん。圧巻。



で思ったんだけど、日本の自然は本当に美しいなあと。
春夏秋冬、東西南北、海に山に、それぞれに息をのむような美しい風景があるなあと。
・・・でも同時に、日本は自然の美しさを相殺してしまう残念な街並も多いなあと。

前にも書いたことがあるけど、日本の街並は、都市も郊外も、清潔ではあるけど美しくないと思う。
僕もその一人ですが、これは自転車をメインの移動手段にすると多くの人が気づくことです。
irukaをきっかけに自転車に乗る人が増えて問題意識を刺激できればと思うけど、刺激しっぱなしではなく、次にどのような行動をとるべきなのかまで提示できるようにしたい。

実現性を考えると迂闊なことは言えないけど、理想だけ書いてしまうと・・・市街エリアはコンパクトに集中していて(徒歩・自転車・トラムで十分に移動できるくらい→コンパクトシティの考え方)、街の外は豊かで手付かずの自然が残っていて、街全体の景観に秩序だった美しさがあって、歴史的な建物がちゃんと保存・活用されていて(旧市街が残ってたら最高)みたいな。
行ったことある街でいうとドイツのデュッセルドルフやハイデルベルグとかノルウェーのオスロとか。
だったら東京住むなよと言われるとちょっと返す言葉がないんだけど、何をすべきか模索していきたいと思います。

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冒頭の写真は山梨県笛吹市、菜の花畑の中に立つ桃の木。


2010年4月6日火曜日

チームiruka<製造編>


株式会社イルカは相変わらず僕だけですが、チームiruka<製造編>は今のところ4人がコアメンバー。

梁さん(デザイナー 大阪在住・韓国籍)
方さん(製造工場社長 上海在住・中国籍)
程さん(自転車商社社長 大阪在住・中国籍)
小林(イルカ社長 東京在住・日本国籍)
*何か差し障りがあると何なので僕以外は社名とフルネームは控えておきます。

最初に梁さんをググって見つけ、梁さんの昔からの仕事仲間である程さんに会い、程さんに上海の方さんを紹介されて今に至ります。
方さんは社長であると同時に自身も優秀で経験豊富な自転車エンジニア。彼が加わって製造面の話は大きく進展した。
程さんの紹介がなければ方さんを見つけることすら無理だったはずで、事業、特に立ち上げ期というのは人の縁が大事だなあと思う次第です。

国籍だけ見ると、韓国・中国・日本と、期せずしてオール東アジアな布陣。
言語がボトルネックになるサービス業と違って、ハードウェア製造は世界展開にあたって国籍を問わない事業だと思う。
なんだけど日本では、松下やソニーといった「戦後ベンチャー」以降有力な日本メーカーが出てきてなかったり、せっかくの大大大チャンスなのに電気自動車ベンチャーがほとんどいなかったり(米中にはうじゃうじゃいるのに)、僕は別にナショナリストではないけど、何となく悔しい感じがする。

折りたたみ自転車なんていうニッチな分野で申し訳ないんだけどw、irukaはアジア発・日本発の世界ブランドめざしてがんばります。

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写真は京都・貴船神社参道。境内で「1. 就職できますように 2. 彼女ができますように 3. 宝くじが当たりますように」と書かれた絵馬を見た。選択と集中を考えてはどうか。


2010年4月2日金曜日

試作第二弾スタート その2


通常、自転車のフレームというのは金属のパイプを溶接して作ります。
なんだけど、irukaのフレームは少し、というかかなり特殊なのでパイプだけでは作れず、いくつか金属の塊を加工して作る箇所がある。
もちろん塊のままでは重いので肉抜きして軽量化を図るんだけど、まあ塊は塊です。

その塊パーツを作る方法はざっくり3つ:

1. 削り出し
フライスと呼ばれる切削工具に塊をセットして、入力したCADデータどおりに削っていきます。
MacBookのユニボディなんかまさにこれ。

2. 鋳造
溶かした金属を型枠に流しこむ作り方。大仏ですね。

3. 鍛造
型を作って金属を流し入れ、さらに圧力をかけます。「熱した金属を鍛えて作る」という意味では、型は使わないけど刀鍛冶がそうです。

量産時はどうするか未定ですが、とりあえず試作第二弾の塊パーツは全て削り出しで作ります。
鋳造と鍛造には金型が必要で、これが結構高い(型一つ作るのに数十万円から大きいと数百万)。
削り出しはデータだけあれば作れるので安い&速く、試作には最適です。

用いる素材は7003アルミニウム合金。
頭の4桁は他の金属を混ぜる種類・分量を表わしていて、これが違うと同じアルミでも性質が大きく異なります。
例えば1000番台はアルミ箔、3000番台は飲み物の缶なんかで使われるけど、強度が要求される自転車では硬めの6000番台か7000番台が使われます。

アルミは鉄に比べれば軽いけど、上に書いたような塊材を使うと全体ではどうしても重くなりがち。
塊部分にはアルミより半分近く軽いマグネシウムを使えないかとか、でもアルミパイプとマグネシウムは溶接できないから接続方法を考えなければとか、カーボンもだいぶコストが下がって来たから検討すべきだとか、そんな話が今回のミーティングでは出てきました。

新しい事業には新しい学びがあって、何と言うか、楽しいです。

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写真は上海浦東空港。


試作第二弾スタート その1



iruka製造の打合せのため昨日まで上海に行ってました。

これまでをおさらいすると、

日本で超ラフな試作第一弾を作りました
 ↓
試作第一弾を持って上海の製造工場に行きました
 ↓
試作第二弾のため設計図面をアップデートしました
 ↓
工場側に図面を出しました ★イマココ

で、ここから先は工場側マターが続き、

パイプ材や汎用パーツを集めます
 &
CNCフライスで削り出しパーツを作るためのデータを作ります
 ↓
削り出しパーツを作ります
 ↓
溶接するための治具を組みます
 ↓
パイプ材と削り出し材を溶接してフレームを作ります
 ↓
全パーツを組み立てます これで完成

という感じ。
まー、最短で6月末くらいかな。

試作第二弾の3D完成予想図チラ見せ。といってもどこの何なのか全くわからないと思いますがw


最終の量産版より意匠的には簡略化して作るけど、第一弾よりは格段にリアルになってきます。

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写真は上海森ビル。正式には上海環球金融中心。森ビル時代の同期・先輩が何人か駐在してるので、久しぶりに会って食事してきました。