2011年7月7日木曜日

太陽光6ヶ月レビュー〜発電能力編


自然エネルギーの話題がホットな折柄、昨年末に自宅を新築して太陽光発電を始めてから半年たちましたので、実数値を出してレビューしておきたいと思います。

まず6ヶ月間の延べ発電量。
下の写真では2796kWhとなっていますが、6ヶ月を10日ほど過ぎた時点で撮影しましたので、6ヶ月ジャストでは2700kWhくらいです。



これが多いか少ないか。

設備利用率、すなわち「最大発電能力に対してどれくらいのパフォーマンスだったか」を考えてみます。
うちの太陽光パネルの最大発電容量は3.7kWですので、設備利用率=発電実績2700kWh/最大発電能力16000kWh(3.7kWh×24時間×180日)=17% となります。
低いなあと感じる方も多いと思いますが、日本の太陽光の稼働率(発電した時間数/総時間数)が平均12%と言われていますから、大体符合する感じです。

では絶対的な発電量としてはどうか。
我が家の1月〜6月の総消費電力は約11000kWhでした(ちなみにオール電化です)。
入居当初は蓄熱暖房機の加減がよくわからず使い過ぎてしまったのと、3ヶ月ほど義母が一時的に同居していたので、もう少し少なく済んだはずと思います。本来は9000〜10000kWhくらいでしょうか。実際、冷暖房を使っていない5月6月は、月300kWh台でしたので。

総消費10000kWh前後に対して発電2700kWhですから、ざっくり我が家の総電力の30%にあたる電力を太陽光が発電したことになります。
うちは夏に冷房をほぼ一切使わない&夏は日照量が多いですから、通年では総電力の35〜40%相当を太陽光が発電することになりそうです。

キャパシティの17%しか使ってないのに総電力の4割近くも発電するの?すごくない?太陽光やばくない?自然エネルギー100%も夢じゃなくない?

・・・という気持もわかりますが、はっきり言って総電力の比率を見ても実用性の観点ではほとんど意味がありません。
電気は貯めることが(ほぼ)できないので、刻々と変動する電力需要に対して、常に安定した電力を供給できるかどうかが重要なのです。

実際うちは夫婦二人とも働いているため、平日はほぼ夜しか電気を使いませんが、当然ながら夜間の太陽光発電はゼロです。
もちろん昼間余った電力は東電が買い取ってくれて他のご家庭で使われるわけですが、以前も書いたとおり、時間帯と天候によって出力が大きく上下するため、「太陽光の発電がゼロになってもいつでも十分な電力を供給できるバックアップ電源」が必ずペアで存在しないと、単体だけでは成り立ちません(「いつでも十分な」を満たしていないので風力ではダメ。現状は現実的には原子力か火力しかない)。

逆に言えば、電気を貯める技術(蓄電技術)にブレイクスルーが起きれば、太陽光・風力などの自然エネルギーだけで少なくとも家庭用の消費電力くらいは賄えそうな感じはしますね(東京電力管内の電力需要は家庭用が65%で産業用が35%)。

ただし、さらに逆に言えば、今世界中に存在する全ての電池・バッテリー類をかき集めて充電しても世界の電力需要を10分しか賄えないと言われており(by ビル・ゲイツ)前途は多難、というか見通しさえ立っていないのもまた事実です。

ということで、太陽光発電ユーザーとして半年が過ぎた僕の感想&考えは:

「現時点では自然エネルギーだけに頼ることは無理だが、ポテンシャルはある。ただし自然エネ100%社会を実現するには蓄電技術の大きなブレイクスルーが必須であり、その目処は立っていない現在では、温暖化と大気汚染の進行を防ぐためにも『当面は』原子力の継続運用が必要である」

自分で言うのも何ですが、論理的ではないでしょうか。

自然エネルギーを推進するためには、推進派は反対派・懐疑派よりも、よりデータとファクトを重んじて、論理的・合理的である必要があると思います。
でなければ、社会全体を説得できませんし、正しい制度設計もできません。
が、今は逆に、自然エネルギー推進派というと、過度に情緒的な、中にはファナティックと言ってもよい人も少なくなく、無用な反感反発を生んでしまっているように思います。

まあ僕は僕で、データがないと何もできない男、という自覚はあるのですがw

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我が家の太陽光発電の経済的な収支についても別途書くつもりです。

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写真は安曇野にて。山吹。


1 件のコメント:

nomuran さんのコメント...

スマートグリッド(次世代送電網)すなわち、電力の流れを供給側・需要側の両方から制御し、最適化できる'賢い'送電網、という考え方は、蓄電よりも送電手法で徹底的な最適化を目指す、という方向ですね。
 
原子力発電なみのローテク、低い変換効率の蓄電設備、例えば揚水発電(80%だかが山という日本の地形、水源の豊富さから他国以上に日本向きといえそうです)を大幅に増加させ、次世代スマート送電網の 'ノード'としてグラフ構造に組み込むことで、主役は、スマートグリッドを実現するセンサーとソフトウェア、というビジョンを持っているのですが如何でしょうか。