2009年5月8日金曜日
ブータン見聞 その2
ブータンは敬虔な仏教国。
先に書いたGNH(国民総幸福量)の「幸せ」の定義も仏教の影響が強い。
幸せ=財/欲
主に分子である財産の最大化を追求するのが資本主義的な価値観だとすれば、分母である「欲」を小さくすることで幸せを最大化するのがブータン的・仏教的価値観。
理論的には、欲をゼロにすれば幸せは無限大ということね。ブラックホールの特異点みたい。
そのブータン人、アンケート調査においても9割以上が「幸せである」と回答しているが、確かに実際目にしても実に幸せそう。
一人あたりGDPは小さいけど自給自足と物物交換が多いから(GDPの計算には補足されない)庶民の暮らし向きは苦しくはなさそうで(楽でもなさそうだけど)、他のアジア諸国とは違って物乞いもいないしスラム地区もない。
もちろん観光客の視点なので表層しか見えていないだろうけど、なんというか、まあみんなのどかにニコニコ暮らしてるわけですよ。
ただ、その幸せが微妙なバランスの上に成り立っているのも確か。
空港ができたのが1983年、テレビ放送とインターネットが解禁されたのが1999年と、ブータンは最近までほぼ鎖国状態だった。
ブータンの学者も「欲は対象物を知らなければ発生しない」と言っているとおり、ブータン国民は外界の文物をほとんど知らず、従ってそれらを「欲しい」ということがなかったのだ。
しかし、ネットもテレビもようやく本格的に普及しつつあり、これからはブータン国民もブランド服、高級車、ファストフード、豪華マンションなど様々な「欲の対象物」を目にすることになる。
テレビとネットの解禁は国内でも相当な議論があったらしいが、国王が「国民の良識を信じる」と決断して踏み切ったとのこと。
さて、どうなるか。
いち旅行者の身勝手な考えとしては、このまま素朴な国であってほしいけど。
ブータン国民が様々なモノを知ってもなお、欲しいと思わなければ素敵なんだけどなあ。
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写真のように、ブータン女性のほとんどがキラと呼ばれる民族衣装を着て生活しています。
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