2012年6月25日月曜日

マキネッタ体験


恥ずかしながら今回フィレンツェに来るまで、直火式エスプレッソメーカー、いわゆるマキネッタという道具の存在を知らなかった。

アパートにあったので初めて使ったんだけど、コツをつかめばちょっと驚くほど美味しいコーヒーを飲むことができる。



美味しいけど、淹れるにも後片付けにも時間がかかる。特に後片付けは本体が冷めるまで何もできず極めて不便。
「イタリア人てのは悠長だねえw」と思っていたが、そういった手間がかかるからこそ美味しく感じるのだと思い至った。

考えてみれば当たり前だけど、美味しさというのは、飲みもの食べものそのものが備える味覚情報、言ってしまえば化学組成だけで決まるものではない。
舌をはじめ、鼻・目・歯ざわり・のど越しといった各種のインターフェイスが受信した膨大なインプット情報を脳が統合処理して判断するわけで、むしろ我々の体調や気分によるところがかなり大きい。

例えばネスプレッソなどと比較したら、ブラインドテストではネスプレッソの方が美味しいと感じるかもしれないけど、本場といわれるイタリアで・初めて使う道具で・自分が手間をかけて淹れたという時点で、もうマキネッタの方が美味しく感じると決まったようなものかと。
特にコンロの前で沸騰する音にじっと耳をすまして待たねばならない、というのは大きいね。否が応にも期待が高まるというもの。

かようにヨーロッパの道具類というのは、あえてユーザーに手間をかけさせることで逆に愛着を強めさせるようなところがあるように思う。
僕はクルマに乗らないのでよくわからないけど、ポルシェとかランボルギーニとかヨーロッパのクルマもそうなんでしょ。

自転車事業においても大いに参考になります。

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冒頭の写真はシエナ、マンジャの塔からドゥオモ方向を望む。


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