2009年12月25日金曜日

デフォルト、世界


もう年末ですね。
だから何だってこともないんですが、まあ起業して2年目の年が暮れ、製品を発売するであろう年(そう、何とか来年中には...)を迎えるにあたって、改めて決意したというか、常に意識しようと思ったことを書いておきます。

デフォルト、世界を相手に考える、ということ。

具体的には、irukaは(まずは日本市場から出すけど)日本限定ではなく、世界市場で販売し、世界で認められる製品にする、ということです。

Googleの二人の創業者やAppleのSteve Jobsから「世界を変える」と聞いても、「アメリカを変える」とは聞いたことがありません。
一方で、日本の起業家、例えばソフトバンクの孫社長や楽天の三木谷社長のような方々からは「日本を変える」とは聞いても「世界を変える」とはなかなか聞きません。

irukaは、世界を相手にしたい。
日本だけでなく世界を、ほんの少しでも良い場所にする製品を作りたい。

もちろん僕なんぞ、上に挙げた方々に比べたら、器も才覚も能力も、足元どころか足元から半径100キロにも及びません。
1000億規模の会社を作れるようなタマでないことは自分が一番よくわかっています。
だから、フォーカスします。
僕レベルの人間が世界を相手にするには、フォーカスするしかありません。
折りたたみ自転車という非常に小さな分野ではありますが、とことんフォーカスして、「世界で認められる会社」をめざします。

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相方の出張に便乗して金沢と白川郷を旅行してきました。写真は白川郷にて、柿の木。


2009年12月17日木曜日

上海でirukaも考えた


上海で思ったことを備忘メモ的に書いておこうと思います。
ほとんどTwitterでつぶやいたことのまとめですが。
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言うまでもなく、成長著しい。万博を控えて街の全ブロックが工事中、排気ガスと粉塵で一日中霞がかってる感じ。

タクシー代と地下鉄代を除いて日本との物価差はなくなりつつある。食事、宿泊、衣服など、東京>僅差でシンガポール>僅差で上海。

日本はデフレ→特に嗜好品は近い将来物価差はなくなる。したがって日本人はもはやカモではなくなる。騙されにくい、という意味ではなく、騙してもメリットがなくなる。以前は、極端に言うと、日本で1万円・中国で1000円で買えるものを5000円で売ることで4000円の鞘を抜けていたのが、今は日本で9000円・上海では7000円で買えるものを8000円で売って鞘が1000円しかない、みたいな。

ゆえに、日本人向けの商売は減る。日本語を学ぶ中国人も減る。代表的なところでは日本人向けのKTVとかも減る。当たり前だけど、中国語の重要性は増す。

とはいえ、上海の成長もさほど長くないのではないか。環境汚染、渋滞、格差拡大など成長の痛みは殊の外大きい。役人の腐敗は聞くだにひどい。役人になれば30代でマンションと自動車を複数持てると。経済成長と両輪であるべき民主主義の発展はまず期待できない。とてつもないアンバランス。日本の高度経済成長も18年で終わったし。上海の一人あたりGDPは現在100万円弱。どこまで伸びるか。

ただし中国が末恐ろしいのは、たとえ上海の成長がスローダウンしても、一人あたりGDP80万円の大連、同70万円の天津、同60万円の瀋陽、同20万円の重慶など、まだまだ成長余地の大きい都市がいくつも控えていること。とにかく色々な意味で、良くも悪くも、末恐ろしい。「悪くも」の代表は、地球環境への影響。

末恐ろしいからと言って、派遣村の村長の言うようなヒステリックな保護主義的反応だけは絶対にしてはいけない。中国含めて他国を敵とみなしても良いことは何もない。元同僚がTweetしていた名言をそのまま転用させていただくと「アジア全体を内需だととらえるぐらいの発想が必要」。

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今回の上海は羽田発着だったんだけど、やはり羽田は良いです。近いし、空港から市街へのアプローチで目にする風景も成田の100倍良い。さらに言えば、ちょっと遠回りしても、湾岸エリアを経由して勝鬨橋かレインボーブリッジで銀座に入っていくシャトルバスを作れば良いと思う。東京は海から見た姿が一番イケてる。特に夕方とか。写真は有明のマンション高層階から見た東京の夕暮れ。


2009年12月10日木曜日

iruka試作初号機キックオフ@上海


もう先週のことだけど、iruka製造について上海の工場に打合せに行ってきました。

今回が2回目のミーティングだったけど、非常に生産的でした。
今後の進め方、製法、素材など大どころが大体全部見えて、かなーり視界がクリアになった。
次のステップは、この工場で試作初号機を作ります。
あと特許の申請にも動き始めないと。

弐号機、場合によっては参号機まで作ってから量産を開始するので、まーまだまだ時間かかります。
でも楽しくやってます。
世界最高の折りたたみ自転車を作ってるわけですから。

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先日からGoogle日本語入力を使ってるけど、「にごうき」と打つと「弐号機」が一発で出てくる。
Googleすごい。。

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写真は外苑前のイチョウ並木。まっきっき。


2009年12月3日木曜日

近年稀に見るイケてる肩書き


昨日上海から戻りました。
工場とのミーティングは非常に生産的でテンション上がりました。

その話はまた今度書くとして、今日は下らない話だけ書きます。

古巣のCFO時代、銀行の人から「小林重役」と呼ばれたことがあります。
こっちが若僧と思ってバカにしてるのか。
もしくは昭和のサラリーマンプレイか。

弁護士から「取り締まりCFO 小林様」という宛名のメールをもらったことがあります。
この先生に弁護をお願いしても大丈夫でしょうか。
大丈夫じゃないと思いますw

某バンドのヴォーカル担当の人が酔って暴れただかで逮捕されて「調べによると、清水ボーカルは〜」と書かれたニュース記事を見たことがあります。
この人がドラム担当だったら「清水ドラムス」とか書くのかな。
カスタネット担当だったら「清水カスタネット」だし、トライアングル担当だったら まあいいや。

でですね、上海でいわゆるKTVと呼ばれる飲み屋に連れてかれたわけです。
そこでチーママを名乗る女性から名刺をもらったのですが、肩書きがイケてました。

 ママ代理

主要顧客である日本のサラリーマンが一瞬にしてその責務と権限を理解できる見事な肩書き。
僕的には近年稀に見るヒットです。

まあこの手の日本人向けに特化した店はもうすぐなくなる運命にあると思いますが、それはまた今度。

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写真は上海万博のマスコット像。
まだ万博始まってすらいないのに露店にはパチもんが溢れてるそうですw


2009年11月26日木曜日

羽田とインチョンをつなぐのだ その2


前回より続く)成田と羽田なら、羽田から海外に行けた方が個人的にも嬉しいし国にとっても良いと思う。

なんですけど、今話題の「羽田ハブ化構想」って無理だと思うんですよね。

まず、もう韓国のインチョン空港が完全に国際ハブ空港として機能してるから。
成田から海外94都市にしか就航してないのに対し、インチョンからは160都市に飛んでる。
2001年に開業したばかりなのに、既にハブ網が構築されてるわけですよ。
だから、羽田だろうが成田だろうが関空だろうが、インチョンからわずか2時間の日本に航空会社がもう一つハブを作るとは思えない。発着料もケタ違いに高いし、インセンティブがない。

それとハードの問題ね。
インチョンは4000m級の滑走路が3本稼動してて5本目まで計画が決まってるけど、羽田は3000mが2本と2500mが1本あるのみで新しく2500mを作ってるところ。
3000mじゃエアバスA380とかでっかい飛行機の欧米便は飛べないからね、滑走距離が足りなくて。
あと行った人はわかると思うけど、まあユーザー向けの施設の充実ぶりは羽田なんかとは彼我の差がありますよ。
キレイだし広いし店も多いし。

というわけで今さら羽田をハブに、なんて無理です。たぶん。
(成田はもっと無理だけど。滑走路が2本しかなくて拡張不可能だし騒音問題で24時間飛べないし)

で、実現してほしいのが、羽田〜インチョン便を飛ばすこと。
24時間、毎時1本くらいの勢いで、ガンガンに、シャトルバス感覚で。
もう羽田はインチョンの出張所になります的な姿勢で。
来年は羽田〜チャンギ便をシンガポールエアが飛ばすようなので、インチョンともつながれば羽田から全世界と行き来できますよ。
マジ希望。

とりあえず、月曜に羽田から上海に発ちます。

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森永卓郎氏が「羽田、成田、関空でスクラムを組んで仁川空港に対抗せよ」なんてコラムを書いてるけど、そもそも3つに分かれてたらハブじゃないだろとw。

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写真は朝焼けのヘルシンキ空港。


2009年11月25日水曜日

羽田とインチョンをつなぐのだ その1


来週の上海行きは羽田発。前の2回は成田だった。うれしい。
何がうれしいって、近い。
文京区の自宅からだと、成田までは2時間かかるけど、羽田までなら1時間。

このエントリは羽田をハブ化するとかタラタラ語ってないで早く羽田をインチョンにつなぐべきだ、と言いたくて書き始めたんだけど、まずは成田について書いておこうと思います。

首都および首都に準ずる大都市の空港はこれまでたぶん20以上使ってるけど、成田は外国人の出鼻をくじいてテンション下げる圧倒的世界No.1空港だと思う。

施設面とかは置いといて、何と言っても物理的な遠さとコストね。
僕は京成線をよく使うけど、特急で1時間10分かかった挙げ句に、連れてかれるのが日暮里とか上野でしょ。新宿とかに泊まるならさらに30分以上電車に乗らなきゃならない。
それでは、と京成スカイライナーにしたら特急と10分しか変わらないのに料金が倍、いきなり2,000円。
成田エクスプレスなら東京駅や新宿に直通で行けるけど、所要時間は大して変わらないのに料金は3,000円強。本数も毎時2本しかない。
んでもって間違ってタクシーなんか乗った日にゃ、都心まで2時間かかった上に料金25,000円也って、もう外国人暴れないのが不思議。
実際日本はデフレでヨーロッパなんかよりよほど生活物価は安いのに、入国して初めて払う料金がこれじゃ、先入観どおり「日本は物価が高い国」で脳内ポジション確定ですよ。

シンガポールのチャンギ空港なんかだと市街までタクシーで30分ちょいで1,000円いかない。
ロンドンとかパリとかヨーロッパ諸都市も電車やバスで1,000円前後で小一時間で着くし、タクシーでも1万円以上はかからないですよ。
バンコクとかデリーとか東南アジア諸都市は渋滞で時間かかるけど料金は安いし。

あえて成田の対抗馬を上げるならニューヨークのJFKか。
渋滞にもよるけど車で2時間近くはかかるもんね。
でもですよ。12時間のフライトと時差ボケの上に2時間近く車に乗ってヘロヘロになって最後にマンハッタンに入るとき、いきなり目の前にドカーンとニューヨークの高層ビル街が現れるわけですよ。映画とかで見たそのままの姿で。
おのぼりさんの価値観だけど、あれはテンション上がりますね。
成田にはそういうのもない。日本情緒溢れる水田地帯を通るわけでもないし。

いやホント、日本進出を検討するために来日した外国人経営者も、成田から入ったらテンション下がることはあっても上がることは絶対ないね。
損してると思うなあ。

長くなったので羽田とインチョンの話は追って。

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写真は機上から見た空。確かヘルシンキ上空。


2009年11月24日火曜日

ビバ空洞化


来週また打合せに行きますが、目下irukaは上海の工場で生産する方向で話を進めてます。

日本では、自転車の量産は実質的に不可能。
コストがどうこうと言うレベルではなく、発注できる工場がないのです。
10年前、そう、わずか10年前には自転車の国産対輸入比率は7:3だったのに、中国や台湾の工場に押されて今や国産比率は1割未満。
いわゆる「空洞化」が進んでいるのです。

と書くと何かネガティブに響くけど、自転車産業に限らず、国全体としては製造業の空洞化はポジティブな必然でしょう。
日本人の人件費が高くなった、すなわち日本人が豊かになった結果なわけですから。

なんですけど、こんなご時世だと、派遣村とかいう村の村長氏のように「海外生産はけしからん、日本企業は国内で生産して雇用を創出せよ」みたいなことを言う人が出てくる。
規制も保護主義も国全体の経済活動にはマイナスでしかないと、簡単にわかりそうなものだけど。

だいたい、最近とみに思うのは、今や企業の国籍を問うこと自体意味がない、ということ。

例えば、
ソニーや日産なんて外国人株主比率は5割超えていてトップも外国人だし。
ボルボは元々スウェーデンの会社だけど米国フォードの傘下に入って次は中国企業に買われるみたいだし。
アメリカのビール会社上位3社(バドワイザー、クアーズ、ミラー)は全てベルギーと南アフリカの資本だし。
もう、どこの国の企業か定義すること自体が不可能でしょ。

だから政府は、企業を規制しようとか保護しようとか、はたまた育てようとか下らないこと考えずに、国籍を問わず企業が活動しやすい環境づくりだけに集中していただきたい。
でもって、どの企業が勝とうが負けようが、企業が外需で稼ごうが内需で稼ごうが、日本の法人税収が増える仕組みだけ考えていただきたい。
それが結果的に日本を豊かにするし、世の中を変えるイケてる製品やサービスが日本から生まれる土壌作りになると思う。

もっとも日本は、健全で安定した政治体制(少なくとも、政府が企業に賄賂を要求して従わないと資産を没収してしまう、なんてことは起こらない)、治安、インフラという基本的な条件は世界トップ中のトップなわけで、あとは規制をなくして法人税率下げて(民主党は中小企業の税率下げるなんて言ってるけど、中小企業が大企業に成長する意欲を失わせる逆インセンティブであり愚策中の愚策)羽田からインチョンに直行便を飛ばせば、ぐぐっと魅力的になると思うんだけどな。

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写真はモンサンミッシェル。オムレツ、まずかった。