前回の成功本に関するエントリを書きながら、ここ数年で目にしたベンチャー成功本を思い浮かべて気づいた。
「経営者が成功本を出したベンチャー企業は、その後下り坂になる」
成功本の定義は以下:
上場ベンチャー企業社長など社会的に「成功者」と呼ばれる人々が
「オレが成功した秘訣」を
半生記と自社の紹介を交えて書き上げた本
名前を挙げるとアグレッシブ過ぎるので控えるが、IT、飲食、結婚サービス、アパレル、人材、不動産・・・経営者が成功本を出した上場ベンチャー企業は、僕が知るかぎり、出版後に業績も株価もピークアウトしている。
まあ例外もあるだろうが、概ね誤ってはいないと仮定して、そのメカニズムを考えてみる。
1. 自信過剰
そもそも「本を出しませんか」などと言われて乗り気になるときというのは、経営者が自信過剰になっているときではないか。
己を過信して判断が甘くなっているのか、本を出した前後に大型のM&Aに乗り出して失敗、という例が散見される。
2. 名誉欲の発現と事業への情熱の低下
同じく、本を出そうなどと思うときは、名誉欲が出、相対的に事業への情熱が弱まっているのではないか。
ベンチャー経営者は総じて非常に忙しい。本来であれば、本を書くような暇はない。
3. 社員のマインド
先の二点を感じ取った社員の反発もあると思う。
成長企業というのは例外なく問題だらけである。オプトでもそうだったが、これはネガティブなことでもなんでもない。成長は必ず問題を伴うので、成長を続ける企業には常に問題はなくならない。成長企業の証のようなものだ。
しかし、成功本を読むと、その会社は何一つ問題ない理想の職場のように書かれている。活気があって、風通しもよく、夢を共有して全員いきいきと働いている、そしてその理想の職場を作ったのはオレ(経営者)だぜ、と。
しらける社員も少なくないだろう。「社長は現場を知らない」「なに満足しちゃってるの」「全部自分の手柄かよ」と。
最近、まだ上場もしてないのに(上場=成功ではないけど)、成功本を出しちゃう経営者も目にする。
たぶん何一ついいことはない。
でも、書きたい気持ちもよくわかるんですけどね。オレ様本書くのって気分いいもの。
僕にはまだオファーはないですが、オファーが来ても我慢して断れるか・・・。
って自意識過剰か(笑)。
追伸
オプトCEO・海老根の著書は成功本じゃないです。学びのある、いい本です。
「会社を替えても、あなたは変わらない」
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先週金曜の夜は前職オプトの全社イベントに行ってきました。
前半はどうなることかと思ったけど、最後MVP発表にはきっちり泣かされた。
懐かしい顔にいっぱい会えて楽しかったけど「OB風吹かせてる面倒な先輩」みたいに思われてないかな・・・。
写真は自転車でゼップ東京に向かう途中、橋の上から。
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