2011年8月17日水曜日
製造業、西回りの長き旅路
先週行った常州のY社工場はとにかく巨大だったが、さらに印象的だったのが「若い工員が多い」ということ。
若い、というのは10代。
もちろん大人の工員も数多くいて、溶接やホイール組などの工程ではいかにも「熟練」といった感じのベテラン工員が多いが、デカール貼りなどいわゆる単純作業の工程は大多数が10代の工員で占められている。
15〜19才の人口は、日本が300万人に対して中国は1億人。
高校進学率は、日本が95%に対して中国は40%強。
15〜19才の非就学人口をざっくり計算すると
日本=300万人×(1−0.95)=15万人
中国=1億人×(1−0.40)=6000万人
その差なんと400倍。
「世界の工場」たる中国を支えているのは、(言い方はあまり良くないけど)安価かつ豊富な労働力なのだと実感する。
日本で高校進学率が40%台だったのは1950年代の前半。つまり高度成長期が始まった頃。
その後、経済成長とともに高校進学率も年々高まって1970年代半ばには90%台に達し、以降は高度成長の終焉とともに横ばいが続いている。
つまるところ高度成長期というのは第一次産業から工業への労働力シフト(=地方から都市への人口移動)であって、都市への人口移動が落ち着き高学歴化が進むことで労働力の増加ペースが落ちると、あとは知識集約型の産業モデルにシフトしていかないと経済成長も止まるという、それってつまり今の日本だよね、という話になってしまう。
中国も一人っ子政策で急速な高齢化が予想されている上に、都市部では高校進学率が7割を超えるなど成長期の日本と同じく高学歴化が進みつつある。
アメリカの大学・大学院への留学者数が、日本人は2万人強なのに対し、中国人は15万人近くまで増えているそうで、高学歴志向は日本以上かもしれない。
となると、「世界の工場」の役割がリレーのバトンのようにイギリスからアメリカ、日本、そして中国へと西回りで移動しているように、いずれその役割は中国からベトナムやインド、そして中東、アフリカへと移って行くのだろう。
西回りが世界を一周してヨーロッパに戻る頃には、世界はどうなっているのかな。
--
写真は常州の自転車工場にて、溶接と塗装を終えて組み立てを待つフレームたち。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿