2011年10月31日月曜日
関税逝ってよし
TPPをめぐる議論がにわかに盛んだ。
最初に書いておくと、僕は100%賛成。
TPPに賛成というか、そもそも関税のない世界の方がよいに決まっている、と思っている。
日本における自転車の輸入関税はゼロ。
僕はirukaを中国で量産する予定で進めているが、もし政府が国内の自転車製造業を保護するために、関税をかけていたらどうなるだろう。
かつて日本は世界有数の自転車製造国であったのが、人件費が安い台湾と中国からの輸入が急増した結果、わずか20年ほどの間に国内の自転車製造業はほぼ壊滅した。
だからまあ、パラレルワールドの話ということで。
わかりやすくするため、関税率100%とし(つまり実質的な製造コストは倍になる)、中国での製造コスト+関税=日本での製造コスト になると仮定する。
中国で作っても日本で作ってもコストが同じで、かつ品質にも大差なければ、まあ日本の方がコミュニケーションも楽だし日本で作ろうかな、と僕も考えるだろう。
コストが倍になった分だけ価格も高くせざるをえないが、海外ブランドの輸入自転車にも関税がかかるので国内での価格競争力は変わらない。
かくして国産irukaが誕生する。めでたしめでたし。
んなわけない。
まず、必要な資金が倍になる。
初期ロット500台を製造するのに、仮に1台あたりの製造コストが中国2万円、日本4万円だったとする(あくまで仮ですよ)。
中国で作って関税がなければ1000万円の初期コストで済むのが、関税がかかることで中国製でも日本製でも2000万円必要になる。
僕は幸いなことに資金面ではさほどの苦労はないが、若いスタートアップの人たちにとって、初期の資金は非常にシリアスな問題だ。
もうひとつ、関税で守られていない国外においては、高コストの国内生産では価格競争力はない。
日本の外に出たら競争力がないということであれば、irukaも必然的に国内志向にならざるをえない。
要は関税というのは、国内生産・国内販売だけで既に商売が回っている人たちにとっては良いが、生産・販売ともにグローバルで考えて新規参入しようとする挑戦者にとっては事業の自由度を狭める厄介なものでしかない、ということ。
逝ってよし、と思います。
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というわけで明日からまた中国です。
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日本は自転車の実売価格が突出して安く、そのせいもあって放置自転車(遺棄自転車)が非常に多いという問題があるのは確か。
価格維持のためにも欧米同様に輸入関税をかけるべきではないかという議論もあるが、僕はメーカー側がより付加価値を高める努力をすべきと思う。
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写真は坂の下から望んだ青山墓地。
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