2010年4月19日月曜日

私を火星に連れていけゴルア


オバマ大統領の「2030年代に人を火星軌道に送る」という発表を聞いて、わくわくしていても立ってもいられなくなりました。
ぼかぁ実は宇宙好きなのです。
今回の発表は「火星の周りを回る軌道に人を送る」であって「火星に人が降り立つ」わけではないのですが、それでもすごいことです。

そこで、自転車とは全く無関係ですが、いかに火星に行くのが大変なことか、半端な知識を垂れ流してみたいと思います。

まず、遠いです。火星。
地球も火星も太陽の周りを公転してるので刻一刻と距離は変わりますが、理論上の最短距離でも地球から5600万km、月までのざっと150倍です。
アポロ計画で月まで片道3日かかってますが、火星までうまいこと燃料を節約できる軌道(ホーマン軌道)を飛んで片道250日・8ヶ月前後かかると言われています。
さらに、帰りにまたその燃料を節約できる軌道にタイミング良く(火星と地球と太陽の位置関係で)乗るため火星の周りをぐるぐる回って500日近く待ってなきゃいけないらしいんです。つまり往復1000日の旅。

まじすか。じゃ節約とか言ってないで燃料バンバン使って近道飛ぼうよ。と思いますよね。
・・・今の技術だと無理みたいなんです。
というのは、ホーマン軌道を飛ぶのであれば地球を飛び立つときと方向変えるときの燃料さえあればよいですが、近道するには太陽の重力とか地球の公転の慣性に逆らって飛ぶための膨大な燃料が必要で、ロケットが重くなりすぎて地球を飛び立てない(地球の重力を振り切るためには秒速11km以上(第二宇宙速度)必要)らしいんです。

じゃせめて、ぐるぐる回ってないで火星に降りようよ。せっかくだから。暇なんだし。と思いますよね。
・・・火星に着陸するのにロケットを減速させるためと、帰りに火星を飛び立つための燃料が必要で以下同文です。

しょうがない。往復1000日、火星は着陸しないでぐるぐる回るだけでいいからすぐ行こうよ。ベンチャーはスピードだよ。と思いますよね。
・・・1000日間2〜4人の乗組員が生活するための物資(食料・飲料など)が膨大で以下同文です。
無重力状態の影響(骨や筋肉がすぐ弱る)、ストレスなど乗組員の健康面の問題もあります。中でも怖いのが宇宙線。宇宙空間は地表のように大気で守られていないため、船の中にいてもX線やガンマ線など浴びまくり状態です。分厚い鉛でも貼って防ごうとすると船が重くなって以下同文。

じゃ期間短くしようよ→振り出しに戻る。絵に描いたような堂々巡りです。

そこで、僕が知ってる限り以下のような対策が検討されているようです。

・月で宇宙船を組み立てて飛ばす→地球より重力小さいので少ない燃料で済み、その分荷物(帰りの燃料、物資など)を増やせる
軌道エレベータ上で宇宙船を組み立てて飛ばす→同上
・先に燃料生成ユニット(空飛ぶコンビナート)を火星に送って、火星の大気で帰りの燃料を作る
・藻類などを使って「宇宙船の中で」生態系を作り、食料・飲料・呼気など全て排泄物からリサイクルする
・藻類などを使って「宇宙服の中で」生態系を作り、食料・飲料・呼気など全て排泄物からリサイクルする
・宇宙船を錘につないで飛んでる間回転させ、人工的に重力をつくる

えーと、何と言うか、大変そうだなあというのはわかりますよね。

大変そうだけど、面白いなあ、夢がある話だなあ、と思った方におすすめSFを紹介します。

火星縦断」J. A. ランディス著(ハヤカワ文庫)
帰りの燃料は向こうで作ってあるんでささどうぞって言われて火星来てみたら燃料漏れちゃってんじゃん地球帰れなくね。という話。著者はNASAの科学者でリアルこの上ないです。

沈黙のフライバイ」野尻抱介著(ハヤカワ文庫)
火星有人探査モノ2篇を含む短編集です。のみならず軌道エレベータ、生態系スーツなど重要トピックが網羅されてます。タイトル篇は恒星間飛行&異星人コンタクトモノ。

気分が乗ったら恒星間飛行に関する浅薄知識垂れ流しエントリも書いてみようかな。

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写真は石の配置が異星人からのメッセージであるという説が有力な(ウソ)龍安寺石庭。


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