2008年11月11日火曜日
<読後感想>強欲資本主義 ウォール街の自爆
旅行中に読んだ本です。
強欲資本主義 ウォール街の自爆(神谷秀樹 文春新書)
今まで「すべての経済はバブルに通じる」など他の本でサブプライムローンの成り立ちやバブル崩壊に至った経緯はわかっていたつもりだが、根本の行動原理、すなわち「なぜ投資銀行がそのような行動に走ったか」が今一つピンと来ていなかった。
僕が仕事上知る投資銀行の人々というのは、M&Aや資金調達の助言でフィーをとるコンサル仕事の人たち。賢げだしバランスシートも小さくて済みそうだし「投資銀行は巨額の負債を負って自らが投資家として積極的にリスクをとっていた」と言われても実感が湧かなかったのです。
それが、この本で一発で腹に落ちました。
M&A助言などいわゆる投資銀行業務は労働集約的で手間かかる
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面倒なので人の投資に助言するだけじゃなくて自分たちでも投資してみた
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儲かった
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より儲けるためにはバランスシートを大きくして運用額を増やせばよい
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★投資銀行は商業銀行と違い自己資本比率の規制を受けないので負債を大きくできた
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で、さらに儲かってトレーダー部門が花形になった
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★伝統的な投資銀行業務は不採算部門として傍流扱いになった(ゴールドマンなどでもフィー収益は全体の一割ほどしかない)
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トレーダーは利益を出せば巨額の報酬を得るが損しても最悪クビになるだけ 再就職先はいくらでもあるからリスクをとらない奴はバカ
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リスクテイクバブルが発生した
特に★の部分が目からウロコ。つまり僕の思い込みは完全に古かった。ソフトバンクを未だにソフトウェアの卸売業と考えていたみたいなものか。
「当世きっての頭脳の集まりである投資銀行が、なぜ過去に学ばずバブルを招いてしまったのか」みたいな議論があるが、答えは非常にシンプルで「市場は欲望で動いているから」。
人の世というのはシンプルだからこそかくも難しい。わかっているようでわかってないことだらけ。つか、わかっていてもそうならない。
全然関係ないけど、筋肉痛って何なのかもわかってないんだって。
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写真はセビーリャの大聖堂にて。神よ。
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